他球団の選手と会話禁止…破れば高額罰金 星野仙一監督が徹底した“鉄の掟”

「俺らは趣味で野球をやっているわけじゃないぞ」星野監督が植え付けた意識

 合宿所の選手には「マスコミに何を聞かれても一切、しゃべらなくてもいい」とのお触れが出た。若手はいろんなことを無頓着にしゃべりかねないと見たからで、実際、早川氏らが監督の意向を受け、そう伝えていたという。さらに、すべての選手には他球団選手との会話を一切禁じた。これも目的は情報漏れを防ぐため。当時、ライバル・巨人には中日・仁村徹の兄、薫が在籍していたが、兄弟さえも例外ではなかった。破れば高額罰金だった。

「敵と仲良くして試合をやれるかって話。俺らは趣味で野球をやっているわけじゃないぞ、仕事だぞ、ということを特に植え付けられた」と早川氏は星野ルールを振り返る。あのころ、親しかった他球団関係者に「こっちに来るな、こっちに来るな、しゃべれないから、しゃべったら罰金だからって背中を向けてしゃべっていた」ことを思い出しながら……。

 時を経て、今の選手たちが、他球団選手と平気で自主トレなどを行っているのを見ると「勝とうって気持ちになれるのかな、技術を教えてもらうなら、自分のチームの選手に言えばいいのにと思ってしまう」という。中日のフロントにも「自主トレだけは、よそのチームの選手とやるのはやめた方がいい」と進言したこともあるそうだ。もっとも「早川さん、そんな時代じゃない。技術が上がればそれでいいじゃないですか」と一蹴されたとのことだが……。

 時代が変わったといえば、最近は試合中の乱闘も少なくなった。もちろん、それが多ければいいという話ではないが、星野中日といえば、そのエピソードにも事欠かない。早川氏は、あの有名な星野監督が巨人・水野をビンタした一件について、意外な言葉を口にした。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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