選抜当確…慶応高の“言葉の力”　清原勝児の満塁弾呼んだ「センター返しは恩返し」

清原勝児は「陽のキャラクター。いい雰囲気を作ってくれる」

　最終回、1点差に追い詰められ、なおも二死満塁のピンチで、日大藤沢の主砲・田上優弥を迎えた場面があった。8回の打席では、低めの変化球を拾われて3ランホームランを打たれていたが、じつは試合前のミーティングで決めていたこととは違う配球だった。ストレート中心で攻めるのが、当初のプランだった。

「『ストレートのほうが打たれにくい』という判断からです。案の定、変化球を打たれてしまって、次の打席では、ストレート中心に攻めるべきと思っていました。でも、私自身がもう1打席回ってくるとは考えていなくて、キャッチャーの渡辺憩に伝えていなかったんです。最終回のあの場面も、タイムの回数が残っていなくて、伝令を送れない。正直、困った状況だったのですが、渡辺が全球ストレートで攻めて、何とか打ち取ることができました。私からしたら、『ありがとう！』です」

　松井喜一、渡辺のバッテリーが4球連続のストレート勝負で挑み、ライトフライに仕留めた。

　今年の慶応高には、清原和博氏の次男・清原勝児がレギュラーで奮闘している。キャプテンの大村昊澄が「常に明るく、常に笑顔で、チームにプラスを持ってきてくれる存在」と語るように、とにかく明るい。森林監督も「陽のキャラクター。いい雰囲気を作ってくれる」と、人間性を称える。

　清原は3回戦の上矢部戦で、公式戦初ホームランとなる満塁弾をレフトスタンドに叩きこんだ。1ストライクから、緩い変化球をうまくバットに乗せた見事な一打だった。