巨人・桜井俊貴が現役引退を決断 “ドラ1”の重圧と戦った7年間に「感謝」

巨人を戦力外となった桜井俊貴【写真:荒川祐史】
巨人を戦力外となった桜井俊貴【写真:荒川祐史】

2015年ドラフト1位で巨人入団、19年は8勝でリーグVに貢献

 巨人・桜井俊貴投手が現役引退を決めたことが24日、明らかになった。今オフに戦力外通告を受け、現役続行を希望し、合同トライアウトを受けていたがオファーはなく、ユニホームを脱ぐことを決意した。ドラフト1位という重い看板を背負いながらの7年間だった。

 NPBのマウンドにもう1度、立ちたい。その思いをボールに込めて挑んだ“戦い”だった。トライアウトでは全力を出し切った。手応えもあった。ただ、スマートフォンに目をやっても、他11球団からの着信はない。受け入れがたいが、これが現実だった。「トライアウトが終わり、5日経っても連絡がなかったので(引退を)決めました」。野球、そしてファンに感謝し、新たなスタートを切る決心がついた。

 普段は温厚で、優しさが溢れる男。だが、マウンドに立つと鬼の形相に変わる。気迫あふれるピッチングが持ち味だった。1年目の3月30日のDeNA戦(横浜)で初先発。4回まで無失点も5回に失点し、初登板初黒星。そこから怪我との戦いになった。登板機会を得られず、時は流れた。

 転機となったのは第3次原政権となった2019年。原監督、宮本投手コーチらのサポートのもと、5月に中継ぎでプロ初勝利すると、6月6日の楽天戦では3年ぶりに先発。7回途中1失点と好投し、先発初勝利をマークした。プロでの一番の思い出は「交流戦から先発ローテに入り、優勝に貢献できたこと」だった。この年、8勝を挙げ、リーグ優勝に貢献した。支えてくれた人への感謝は忘れない。

 翌年は開幕ローテに入った。滑り出しは順調だったが、シーズンを通してその座を守り切ることができなかった。「悔しさが残っているのは2020年シーズンでローテを死守できなかったことです」。その後は1軍、2軍を行き来するようになり、今季は中継ぎで8登板。2勝を挙げたが、本来の投球は影を潜めていた。

 まだ29歳。まだできる――。本人も周囲もどこかで思っていたが、“NPB一本”と照準を定めてきた。決断に後悔はない。「ここまで野球をすることができたことに感謝しかありません」。巨人のドラフト1位として注目を浴び、期待され、重圧を感じた7年間。喜びも苦しみも味わった時間を無駄にはせず、今後は巨人のため、野球界のために、尽力していく。

○桜井俊貴(さくらい・としき)1993年10月21日、兵庫・神戸市生まれ。多聞東小4年から野球を始める。多聞東中から北須磨高に進学。甲子園出場経験はないが、エースとして活躍。立命大では1年秋から関西学生野球リーグ登板。3年秋には大学生ながらU21日本代表に選出された。2015年ドラフト1位で巨人に入団。2019年はシーズン途中から先発ローテで回り、救援勝利を含め、8勝をマークし、優勝に貢献。今季は8登板で2勝0敗。通算成績は7年で110試合、13勝12敗。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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