貢献度でリーグ3位でも選外に セのベストナインに優勝補正は…データと比較してみた

ヤクルトの塩見泰隆、巨人の大城卓三、ヤクルトのホセ・オスナ(左から)【写真:荒川祐史】
ヤクルトの塩見泰隆、巨人の大城卓三、ヤクルトのホセ・オスナ(左から)【写真:荒川祐史】

総合的な指標「WAR」でリーグ3位のヤクルト塩見泰隆が受賞を逃した

 日本野球機構は24日、今季のセ・パ両リーグのベストナインを発表した。セ・リーグでは2連覇を達成したヤクルトと阪神から最多の3人が選出。記者投票によって選ばれた同賞だが、データで選ぶ場合と違いは生まれたのか。検証してみたい。

 データには打撃、走塁、守備、投球を総合的に評価して選手の貢献度を測る指標「WAR」を用いる。セイバーメトリクスの指標などで分析を行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを参照した。

 セ・リーグではヤクルトから中村悠平、ホセ・オスナ、村上宗隆、阪神から青柳晃洋、中野拓夢、近本光司とそれぞれ3選手が受賞。DeNAからは牧秀悟と佐野恵太、中日からは岡林勇希が選ばれ、巨人と広島の受賞者はなかった。

 野手の「WAR」で見ると、セ・リーグのトップは村上の「10.3」と突き抜けている。2位には「6.8」の岡林が入っており、ここまでは順当にベストナインに選出されている。一方で、3位の「5.9」を記録したヤクルトの塩見泰隆が選外。外野の近本、佐野、岡林は全員がタイトルを受賞しており、割って入るのは難しかったが、指標上は選ばれてもおかしくなかった。

 また、一塁のオスナは規定打席に到達した27選手で下から2位の「0.2」だった。広島のライアン・マクブルームは「1.3」、巨人の中田翔は規定に届かず「1.5」と大きく引き離せず、リーグ2連覇に導いた勝負強い打撃のイメージが上回ったのだろうか。

 ヤクルトの山田哲人も5位の「4.0」を記録したが、同じ二塁の牧が7位の「4.0」。指標上でもハイレベルな争いになり、惜しくも受賞を逃した。捕手では、巨人の大城卓三が「2.6」、中村が「2.1」、中日の木下拓哉が「2.1」と三つ巴の接戦となったが、リーグ2連覇に貢献した中村が選ばれた。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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