メジャーの“青田買い”の裏にある悲劇 大金夢見る少年たちを陥れる禁止薬物の闇

パドレスのフェルナンド・タティスJr.【写真:Getty Images】
パドレスのフェルナンド・タティスJr.【写真:Getty Images】

NY紙が「ステロイド問題の闇は深い」のタイトルでレポート

 今年8月、パドレスのフェルナンド・タティスJr.内野手はMLBの共同薬物防止・治療プログラムに違反するパフォーマンス向上薬であるクロステボルの検査で陽性反応を示したことを受け、無給での80試合出場停止処分を受けた。昨季ナ・リーグ本塁打王に輝いた23歳の失態に激震が走ったが、ドミニカ共和国では野球少年たちによる薬物使用が蔓延し、問題になっている。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が「ドミニカ共和国は野球大国だが、ステロイド問題の闇は深い」とのタイトルでレポートしている。

 現在33歳のヘンリー・メヒアは2010年代前半にメッツでリリーフとして活躍したが、3度の陽性判定を受け、2016年に永久追放となった(後に条件付きで解除)。そのメヒアは同じドミニカ共和国出身のタティスJr.について「彼は自分自身に問いかけ、大丈夫だと言わなければいけない。失敗を認めて、前に進むことだ」などとコメントした。

 MLBと選手会が禁止薬物による出場停止に合意した2005年以降、メジャーとマイナー合わせて1308件の陽性反応があった。そのうちの半数近くがドミニカ共和国出身選手によるものだという。メヒアが15歳の時からプライベートトレーナーを務めたフェリックス・メナ氏は「スカウトが16歳の選手を見たら、年を取っていると感じる。12歳の少年が競争をしなければいけないので間違いが起きてしまう」と語る。

野球に専念するため中学校に行かない子どもたちも多い

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