「時間があればぜひ」 3冠王との“食事会”も熱望…西武山川の衰えぬ向上心と好奇心

西武・山川穂高【写真:荒川祐史】
西武・山川穂高【写真:荒川祐史】

燕・村上と打撃談義「打席での感覚、ボールの待ち方について話をしました」

 今季プロ野球の総決算となる「NPBアワード2022 supported by リポビタンD」が25日に開催され、パ・リーグで本塁打、打点の2冠王に輝き一塁手部門で3年ぶり3度目のベストナインを受賞した西武・山川穂高内野手も表彰された。本塁打王は3年ぶり3度目で、獲得した年は全て40発超え。一方、打点王は初受賞だ。

 2018、19年に2年連続本塁打王に輝き、チームのリーグ連覇にも貢献した山川だが、20、21年は故障もあって、いずれも20本台にとどまっていた。だからこそ「うれしさはひとしお。そう思うことができる年になってよかった」と相好を崩した。

 とはいえ、今季の2冠も順風満帆のままこぎつけたわけではない。シーズン序盤は猛打を振るい、タイトル争いを独走。3冠王の可能性させ取り沙汰された。ところが後半は失速し、9、10月の21試合は打率.197(76打数15安打)、4本塁打10打点に終わった。最終的には打率.266、41本塁打、90打点。本塁打の方は、2位の楽天・浅村栄斗内野手に14本差をつけたが、打点はオリックス・吉田正尚外野手に2差の88打点まで追い上げられた。「本塁打は40発を超えたからよかったけれど、打点は100以上を目標にしていた」と満足はしていない。

 プロ9年を経過し31歳となっても、向上心と好奇心は少しも衰えない。この日もセ・リーグで史上最年少の3冠王に輝いたヤクルト・村上宗隆内野手と言葉を交わし、「打席での感覚、ボールの待ち方について少し話をしました。普段からLINEで、疑問があれば僕の方から質問することもありますよ」と明かす。「右打ち、左打ちの違いはありますが、今年特に凄かった人の話を聞き、自分の感覚も大事にしつつ、参考になればいいなという思いでいます」とし、「食事にはまだ一緒に行けていないけれど、時間があればぜひお願いしたい」と熱望した。

 チームの垣根や年齢にこだわらず、シーズン中であっても、アドバイスを求められれば快く応じ、疑問があれば屈託なく尋ねるのが“山川スタイル”のようだ。人望が厚く、シーズンオフの自主トレにはこれまで、他球団からもソフトバンクの沖縄出身の期待株リチャード内野手らが参加してきた。来年1月には新たに、ロッテで今季チーム最多の35試合で4番を務めた山口航輝外野手、中日の未完の大器・鵜飼航丞外野手らが“弟子入り”する予定だ。「まずは自分のことをやります。その後で、若い選手に何か質問があれば、一緒に練習しながら教えていけたらいいと思います」と言う。

 山川ほど自ら球界にアンテナを広げ、そして周囲から熱視線を浴びる選手は珍しい。来季中には国内FA権を取得する見通しで、何かと例年以上に注目されるシーズンになりそうである。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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