大都会の進学高にイチロー氏が興味を持ったワケ 大切にした“プレー以外の情熱”

守備練習を見ながら笑顔を見せるイチロー氏【写真:代表撮影】
守備練習を見ながら笑顔を見せるイチロー氏【写真:代表撮影】

2017年から6回の野球普及活動「新宿ベースボールアカデミー」を行った都立新宿高

 野球への情熱は、何もプレーで表現するだけではない。マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏が27日までの2日間、都立新宿高(東東京)を電撃訪問し、熱血指導を行った。今までは学校や選手側の要望に応えて指導することが多かったが、今回は「僕の興味できました」。大都会の都立高に興味を持ったのには理由があった。

 イチロー氏は、2日間でフリー打撃の実演指導やノックを170本打つなど精力的に指導。初日、驚く高校生の前で「高校生のほとんどは夏の大会、秋の大会で1回戦、2回戦で消えていくじゃない? そっちの方が多い。みんなからリクエストや監督から是非、来て下さい、と言われて来たわけじゃないので。僕が興味があって来ました」とサプライズの理由を明かした。

 興味を持ったのは、小学生への野球普及活動「新宿ベースボールアカデミー」だ。野球教室や理学療法士を呼んだ怪我予防講座などを行っている。田久保裕之監督が就任した翌年の2018年2月から始まり、今年の11月で6回目を迎えた。

 田久保監督は「アカデミーをやる一番の目的はまずは、うちの子たちが伸びるから、野球界のためというのはおこがましい」と普及活動の意図を語る。コロナ禍で3回ほど延期になったが「コロナ前は生徒たちがどんどん自立していって、私はやることがなくなった」と成長を実感する。

 イチロー氏が大切にしたのは「野球が好きで情熱を持っている」こと。部員は17人と多くないが、学業と野球を両立しながら、普及活動まで行う都立高の気概に心動かされたという。

 もちろん、勝ちをおろそかにするわけではない。田久保監督は「『先輩たちが苦労して苦労していろんなことにチャレンジしてくれたことが、そのプレゼントが来た。次は、君らがどうなっていくか、それが責務だよ』、という話はしましたね。イチローさんが指導してくださったのに、とか1回戦負けとか、人として、となると、イチローさんもがっかりする」と話す。「いいプレッシャーをいただきました」と文武両道でさらなる活躍を誓った。

(Full-Count編集部)

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