GMも「結果出なかったらどうするんだ?」 西武・今井が驚きの背番号変更に込めた決意

引退の武隈祥太氏から継承「自分が付けて恩返しをしたい」

 今井は作新学院高(栃木)3年時に夏の甲子園で優勝投手となり、2016年ドラフト1位で西武へ入団。楽天へFA移籍した岸孝之投手のあとを受ける形で、栄光の背番号11を譲り受けた。6年間で通算91試合に投げ28勝27敗、防御率4.07。今季は先発3本柱の一角として計算されながら、開幕直前に右内転筋の張りを訴え戦線を離脱。さらに2軍戦で左足首を捻挫し、復帰が遅れた。7月に1軍復帰し好投を重ねるも、8月末には扁桃腺炎による発熱でまたもや実戦を離れた。それでも9試合5勝1敗、防御率2.41の数字を残せたのは、抜群の潜在能力があればこそだ。

「正直言って、11番をいただいてから6年間、あまりチームに貢献できていない部分が大半だったと思います。心機一転と言うか、先輩(武隈氏)の番号をいただいてマウンドに立つ時、今まで以上にモチベーションを持てるのではないかと考えました」と述懐。今井自身、この6年間はもどかしさに苦しんでいたのだろう。「ドラフトで新しい選手が入ってきて、武隈さんを知らない選手が48を付けてプレーするくらいなら、自分が付けて武隈さんに恩返ししたい」とも付け加えた。

 武隈氏からは「おまえ、スゲーな。でも、(球団から)絶対に断られる。無理だからやめておけ」と促されたそうだが、気持ちは変わらなかった。また、渡辺GMは「彼に11を付けさせた時の思いも説明し、彼の決意を確かめるために『48でも結果が出なかったら、どうするんだ?』と問いかけたが『どうしても48を付けたい』ということだった」と明かす。その姿を見て渡辺GMも「今井には来季、相当プレッシャーがかかると思う。自分にプレッシャーをかける覚悟があるなら、いいのではないか。彼の野球人生の潮目が変わる年になるかもしれない」と了承した。野球人生の流れを変えるため、周囲の反対を押し切った男の来季ががぜん、楽しみになってきた。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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