打率.215で4年6.4億円の大型契約…西武・外崎の評価は妥当? 真の価値と運のなさ

契約更改交渉に臨んだ西武・外崎修汰【写真:宮脇広久】
契約更改交渉に臨んだ西武・外崎修汰【写真:宮脇広久】

西武と年俸1億6000万円で4年契約を結んだ

 西武の外崎修汰内野手は来季から新たに4年契約を結び、年俸1億6000万円の役目を果たしていく。今季は規定打席到達者の中で、12球団ワースト2位の打率.215。にもかかわらず、総額6億4000万円の大型契約を西武はなぜ結んだのだろうか。今季国内フリーエージェント(FA)権を取得し残留したのも理由の一つだが、指標でみると打率だけではない外崎の貢献度がわかる。(金額は推定)

 外崎は今季、132試合に出場したが、打率は規定打席に到達した21選手中、20番目。同僚だったブライアン・オグレディの.213に次いで低かった。レギュラーに定着した2017年以降、自己ワーストの数字だったが、一方で貢献度が高いのが今季、ゴールデングラブ賞も受賞した守備の指標だ。

 セイバーメトリクスの指標で分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータによると、守備全般での貢献を示す「UZR」は15.4。一般的に10を超すと名手と言われる中で、出色の数字だ。12球団の二塁手の中でも、広島・菊池涼介内野手、巨人・吉川尚輝内野手らを差し置いてトップに立つ。

 また、打率ではリーグワースト2位とはいえ、打撃面から見ても、外崎は西武に欠かせないだろう。楽天・浅村栄斗内野手、DeNA・牧秀悟内野手、ヤクルト・山田哲人内野手ら“強打の二塁手”は今やトレンドとなっている。外崎も今季は11本塁打を放ち、レギュラー定着以降、6年間で5度の2桁本塁打。確実に2桁アーチを記録できる能力は、今季リーグワーストタイの441得点に終わったチームにとって貴重だ。

 さらに、苦しんだ打率も改善の可能性もある。「本塁打を除くグラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合」を示す「BABIP」が直近2年は2割5分台と低迷。BABIPには“運”の要素が大きく絡むとされ、外崎は2017年から2019年まで3割を超えている。直近2年の打率低迷は運も味方しなかったともいえる。

 今季、国内FA権を取得しながら西武残留を決めた外崎。西武は、来季FA権を取得見込みの源田壮亮内野手とも5年契約を結び、二遊間は当面健在だ。2019年以来のリーグ優勝には外崎の活躍が欠かせない。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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