壮絶体験経て「誰かのために」 元オリ戦士が山本由伸を“教材”に指導するワケ

山本由伸とは面識はないが、関係者を通じてトレーニング方法などを学んだという

 トップアスリートも実践する「KOBA式体幹☆バランストレーニング」もある。これは年齢に関係なく取り組めるもので、弱い箇所や部位を見極めてからマットやゴムチューブを使って始める。アスリートには俊敏性、パワーバランスの向上、女性には気になる部分の引き締めなどの美容対策、高齢者にはつまずきや転倒防止などにつながるという。「何かのきっかけで、パッと良くなったりすることもあるので、役に立てばと思っています」。

 ここまでプロ野球生活を含めて、いつも荒波の中で生きてきたといっていいかもしれない。向かい風に立ち向かう日々だったかもしれない。だが、南牟礼氏はこう言う。「自分が選んだ道なんですから」。2人の子どもについても「上が24歳、下が22歳になりました」と優しい顔で話す。

 ひとつ願っていることがある。「障がい者というだけで健常者とお手当が全然違うでしょ。それが僕、納得いかなくてねぇ。健常者と同じような賃金をもらえる仕組み、働き方。平等に、安心して生活できるように。それができたらいいなって思うんです」。

 南牟礼氏は亡き妻を想い、仏壇の水を替え、お経を読み、御詠歌を唱える。「お坊さんに教えてもらって、こういうのを聞くと喜ぶらしいよって。喜ぶかもしれないのなら、してあげたいんです」。いろんな出来事の報告もする。「機嫌が悪いときは座らんからパスっていうときもありますけどね」。寂しくないといったら嘘になる。でも、まだやることは残っている。「これからの人生もあっという間なんでしょうね」と笑った。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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