深夜までTVゲーム→寝不足の決勝マウンド 坂口智隆氏が後悔する高校最後の夏

今季限りで現役を引退した坂口智隆氏【写真:中戸川知世】
今季限りで現役を引退した坂口智隆氏【写真:中戸川知世】

準決勝の市尼崎戦は9回2死走者なしから5点差をひっくり返す奇跡のサヨナラ勝ち

 ミラクルはまだまだ続いた。準決勝の相手は左腕エース・金刃憲人(元巨人、楽天)を擁する市尼崎。5点ビハインドで迎えた9回裏2死走者なしから一挙6点を奪い逆転サヨナラ勝ちを飾る。同校史上初となる夏の県大会で決勝進出を果たした。

 ベンチはお祭り騒ぎで、スタンドも優勝したかのように狂喜乱舞。奇跡のサヨナラ勝ちにナインのボルテージは最高潮となった。翌日に控えた決勝の相手は同年の選抜王者・報徳学園だったが「もう、完全に流れはきてる。選抜王者がなんぼのもんじゃい! って。絶対にいけると思っていたんですけど。最後に色んな意味でやらかしてしまった…」。

 青木監督からは「最後はお前でいくぞ」と、決勝戦の先発を告げられる。さらに、決勝前夜には球場から徒歩5分の実家に数人のレギュラーメンバーが宿泊した。5点差を吹き飛ばしたサヨナラ劇の興奮が収まることはなく、深夜まで仲間とTVゲームを楽しんだり語り合ったりし、結果的に寝不足のまま当日を迎えることになった。

 正午スタートの決勝戦。目をこすりながらも、試合前ブルペンから絶好調で後輩捕手からも「坂口さん、今まで一番いいです。スライダーのキレは最高です!」と太鼓判を押されていた。暴れ馬だった制球力も抜群で「エース・坂口」は意気揚々とマウンドに上がった。

報徳学園との決勝戦は先発するも2回1/3、7安打5失点でKO

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