平良の先発直訴に見た西武に根付く“自己主張” 先輩右腕が「一番大事」と語った信念

西武・平良海馬【写真:荒川祐史】
西武・平良海馬【写真:荒川祐史】

西武・今井が平良に言及「勉強した上でやりたいと言っている」

 西武・今井達也投手が、1歳下の同僚・平良海馬投手の先発転向に言及。先発ローテの枠を争う立場となるだけに「そこは負けないように頑張ります」と言いつつ、「本人が一番うれしいんじゃないですかね。ずっとやりたいと言っていたので、僕も個人的にうれしい」と後輩を祝福した。

「(平良は)トレーニングをするのが好きな子で、『中継ぎの場合、遠征が続くとトレーニングが十分できない』と嘆いていました。先発なら(チームの遠征中に本拠地で)残留練習のケースもありますから、平良にとってはいい環境だと思います」と今井はうなずく。

 一方、主に8回を担って今季リーグ最多タイの61試合に登板し、防御率1.56をマークした平良がリリーフ陣から抜けるとなると、チームにとって不安材料でもある。だが今井は「本田(圭佑投手)さんもあの数字(中継ぎで今季45試合4勝2敗20ホールド、防御率1.97)ですし、水上(由伸投手)も増田(達至投手)さんもいる。それで7、8、9回は大丈夫ではないかと思います」と見解を示した。さらに平良へ助け舟を出す意図なのか「僕が(先発として)ダメだったら、8回を投げます」と際どいジョークも放った。

 平良はプロ5年で、1軍公式戦に先発したことはなく、すんなりモデルチェンジできる保証はない。「(平良は)勉強した上で先発をやりたいと言っていると思います。行き当たりばったりの子ではないですから。(高橋)光成さん、(菊池)雄星さんにアドバイスを求めていると思うので、心配ないと思います」と今井は見ている。その上で「平良は1イニングだけを抑えることに関しては、日本中の人が認める投手ですから、もし先発をやってみてダメだったら、元に戻ればいいだけでしょう」とも付け加えた。

 今井自身も、今季まで着けていた背番号「11」から、今季限りで現役を引退した武隈祥太投手の「48」への変更を球団に直訴し、1日の契約更改後に発表したばかりだ。翌2日に平良が1度目の契約更改交渉で先発転向を求めて保留しており、今オフの西武は波乱含み。選手が各々の希望をはっきり球団に伝えることについて、今井は「それが一番大事なことではないかと思います」と話す。

 今井と平良は“一件落着”後、平良のYouTubeチャンネル「たいらげーむ」上で共演し、冒頭に「よかったな、来年から先発できるのか」、「そうなんですよ、実は」と気楽に言葉を交わすシーンがあった。底知れぬ潜在能力を持つ今井と、先発1年目の平良がそろって2桁勝利を挙げるようなら、松井稼頭央監督就任1年目での優勝はぐっと近付く。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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