ワースト2人は巨人…走者怖れる“送球力”の高い外野手は? ハムは新庄効果で大躍進

巨人のアダム・ウォーカー【写真:中戸川知世】
巨人のアダム・ウォーカー【写真:中戸川知世】

外野守備の指標「ARM」で1位はロッテ高部、“最下位”は巨人ウォーカーだった

 外野手の守備で必要な要素の1つが「肩の強さ」。守備範囲や捕球能力と共に、走者を次の塁に進ませないための送球も欠かせない能力だ。セイバーメトリクスの指標の一つ「ARM Ratings」は、送球で走者を刺した外野手の「補殺」だけでなく、走者を進ませなかった「抑止力」も含めて外野手の送球による貢献を得点で換算している。セイバーメトリクスの指標で分析などを行う株式会社DELTA(https://1point02.jp/)のデータを基に、今季300イニング以上を守った外野手を対象に「ARM」ランキングを検証してみた。

 対象は64選手で、最も高かったのがロッテ・高部瑛斗で5.5。大卒3年目の今季レギュラーに定着し、44盗塁でタイトルを獲得した。肩にも定評があり、補殺数はリーグ2位の9で度々ピンチを救った。ゴールデングラブ賞も初受賞しているが、進塁抑止の観点でも貢献度が高かった。

 2位は同僚の荻野貴司で5.5。そして3位は日本ハム・今川優馬で4.9だった。入団2年目の25歳は今季94試合中、84試合に外野で出場。守備全般での貢献を示す指標「UZR」は-2.3だが、スローイングで貢献した。補殺もリーグ7位タイの5を記録している。日本ハムでは万波中正が3.7位で5位、松本剛が2.4で10位。トップ10に3人は12球団最多で、新庄剛志監督のイズムが浸透した証ともいえるだろう。

 上位7人はパの選手が占め、セのトップはヤクルト・塩見泰隆で2.6。初のゴールデングラブ賞を受賞した。「UZR」で27.2という断トツの数字を記録した中日・岡林勇希は2.2で全体12番目。補殺はリーグトップの7を記録している。

 64選手の中で最下位は巨人のアダム・ウォーカーで-4.7。同僚のグレゴリー・ポランコが-4.5でブービーだった。ウォーカーはスローイングに難があるとされ、度々話題に。今季の巨人の両翼は「抑止力」としての効果を発揮できなかった。中堅の丸佳浩は-1.0だった。

 肩の強さ、守備範囲だけでは分からない外野手の守備の貢献度。こうした観点から守備を見るのも、面白い野球の見方になるかもしれない。

(Full-Count編集部 データ提供:DELTA)

データ提供:DELTA http://deltagraphs.co.jp/
 2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~3』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。

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