イチロー氏元通訳の人生変えたTV番組 米国からオリに送った“売り込みレター”

元阪神助っ人を特集した番組に心奪われた

 1986年の夏、通っていた大学が交換留学制度を設け、その試験にパスしてオレゴン州で3週間のホームステイを経験。帰国後は社会科の教員になるつもりだったが、再渡米を決意し、翌1987年春からオレゴン大学に留学。1990年6月に無事卒業となったが、両親と交わした日本での就職を果たさないまま異国での職を求めた。しかし、魅力的なものは見つからず時間だけが過ぎていった。

 焦燥感が募り出した夏のある日のことだった。心を躍らせるテレビ番組を目にする。

「その時まで野球界に従事したいなんて一度も考えたことはなかったのですが、あの番組で日本の球団のお手伝いができるのではないかと強く思ったんです」

 前年に阪神で大活躍し、デトロイト・タイガースで大ブレークしたセシル・フィルダーを特集するESPNの特集に見入った。復帰したメジャーで本塁打を量産するフィルダーの活躍と日本のプロ野球、そして日本での生活を紹介したその番組を見終えると、末吉氏は自分を売り込む手紙を日本語と英語の両方で作成した。送り先は、生まれ育った大阪を本拠地とするオリックスと近鉄だった。

「返事なんかまずもらえないだろうと最初からあきらめていましたけど……。返事が来たんです!」

テレビ番組見なければ「今も地元大阪で教師をしていたはず」

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