アマ球界からメジャー指導者に…高まる“門戸開放”の波 「深い懐」の根底にあるもの【マイ・メジャー・ノート】第11回

Wソックスの投手コーチは高校指導者から大学、マイナーを経てメジャーに上り詰めた

 近年は、アマチュアでの球歴に留まる者が、米球界最高峰の場で指導役に就くという新たな潮流の波が高まっている。

 前田健太投手が所属するツインズは、2018年オフに米大学野球の名門アーカンソー大からウェス・ジョンソン投手コーチを三顧の礼を尽くして迎え、アマチュア球界からメジャーに一気に飛翔した史上初のケースを生んでいる。また、高校の指導者から大学、マイナーとステップアップし、メジャーに上り詰めたのが、ホワイトソックスのイーサン・カッツ投手コーチである。

 同コーチの手腕は早くからプロ球界でも注目されていた。ロサンゼルスの名門私立校ハーバード-ウエストレイク高で、後にメジャーで活躍するルーカス・ジオリト(ホワイトソックス)、マックス・フリード(ブレーブス)、ジャック・フラハティ(カージナルス)らを指導。その中の一人、ジオリトとは夢物語を紡いでいる。今春のシカゴでその一コマを垣間見た。

 5月4日、寒風吹きすさぶリグレー・フィールド。ホワイトソックスの先発ジオリトは、カブスの鈴木誠也外野手を3打席で封じるなど、降板する6回途中までを3失点に抑える101球の粘投で今季初勝利を手にした。降板後のダグアウトでかつての恩師に肩をたたかれた右腕は満面の笑みでうなずいた。

 翌日、ジオリトは運命的な再会をたどった。

「メジャー3年目の18年、僕は制球に苦しんだ。90四球はリーグワースト。その年のオフ、相談したイーサンの助言でフォームを修正したんだ。翌年、制球は安定し、自己ベストの14勝を挙げることができた。だからチームが新たに投手コーチを探すと聞いた時、頭にすぐ浮かんできたのが高校時代の恩師だった。もうそれだけでワクワクしたけど、こうして現実になったのだから、不思議としか言いようがないなぁ」

「深い懐」を示す、空の英雄リンドバーグのエピソード

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