負け慣れた選手にミナシアンGMが“喝” 低迷エ軍を変える意識改革「勝つことは技術」

エンゼルスのペリー・ミナシアンGM【写真:小谷真弥】
エンゼルスのペリー・ミナシアンGM【写真:小谷真弥】

エプラーGMは育成に重点を置いてきたが、ミナシアンGMは勝利を重視

 大谷翔平投手の所属するエンゼルス地元紙「オレンジ・カウンティ・レジスター」のエンゼルス番ジェフ・フレッチャー記者は、チームが長年低迷する原因としてファームの失敗をあげた。ビリー・エプラー前GM(現メッツGM)の元では、マイナーでの勝利は重要視されず育成に重点を置いていたとされており、現在のペリー・ミナシアンGM体制では2022年に両方を目指して変化を遂げたとしている。

 ミナシアンGMは就任1年目だった2021年スプリングトレーニング開始時に、エンゼルスの全マイナーリーガーを集めた。マイナーで最も勝率の高い球団をリストアップし、それらの球団はメジャーでも好成績を挙げていることを指摘した。当時エンゼルス傘下に所属していたコール・ダウンシングは「その後、彼(ミナシアン)は私達を少しだけ非難した感じだった」と振り返る。

 2019年のエンゼルス傘下(マイナー)は勝率.406で最下位。短縮シーズンだった2020年は26勝34敗で、勝率.433だった。前任のエプラーGMから「マイナーリーガーは勝敗を気にしないように」と伝えられていた選手たちは、球団の指針の変更に気付くことになったとしている。

 ダウンシングは「ペリーは『マイナーで勝てなければ、メジャーで勝つことは望めない。簡単にスイッチをオンにすることはできない』と言った。彼の理屈は、勝つことは技術(スキル)だと。『勝者は本物で、敗者も本物だ。勝ちながら育成する』と言っていて、気持ちが高まったよ」と語った。

“意識改革”は実り、2022年エンゼルスのマイナーは近年最高の成績を残し、2つのチームがプレーオフに進出した。ミナシアンGMは「勝つことを経験していない状態でメジャーに上がると、1点差の8回(のような緊迫した状況)に何をしていいかわからなくなる。理想的な状況ではない」と意図を説明した。

 今季のエンゼルスの全マイナーを見たライバルチームのスカウトも、エンゼルスのマイナーは「改善した」という。特に傘下2A(ロケットシティ・トラッシュパンダズ)の投手陣に感心したそうで「彼らは良くなってきているよ。何か(答えを)見つけ出したんじゃないかな」と発言。来季こそエンゼルスのプレーオフ進出へ、マイナーから確実に変化はみせている。

(Full-Count編集部)

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