年俸“25倍”の大出世も変らぬ謙虚さ 指揮官の配慮も力に…主将・佐野の好漢っぷり

DeNA・佐野恵太【写真:荒川祐史】
DeNA・佐野恵太【写真:荒川祐史】

プロ1年目年俸670万円の25倍以上→1億7000万円で契約を更改した

 DeNAの佐野恵太外野手は14日、横浜市の球団事務所で契約更改に臨み、今季の1億1000万円から6000万円増となる年俸1億7000万円(金額は推定)でサインした。今季161安打で中日・岡林勇希外野手と最多安打のタイトルを分け合い、リーグ3位の打率.306、自己最多の22本塁打を放った打撃もさることながら、2020年から主将を務めるキャプテンシーはチームへの貢献度大だ。既に三浦大輔監督と話し合い、来季も主将を継続することが決まっていることを明かした。

 指揮官と話し合ったのは、クライマックスシリーズ終了直後だった。「監督は気を遣って『キャプテンが重荷になったり、苦しめられたりしていないか?』と聞いて下さいましたが、『やらせてもらえるなら、やりたいです』と答えました。監督も『そう言ってくれるならお願いしたい』と言って下さいました」と明かし、「キャプテンとして優勝したいですし、勝って監督に恩返ししたい」と思いを新たにしている。

 実績を重ねてもなお腰が低く、気さくな人柄の佐野が主将を務めていることが、DeNA特有の和気あいあいとしたムードを醸し出す要因の1つとなっているのは間違いない。2016年ドラフト9位から這い上がった男はこの日、「入団した時の年俸は670万円。(来季年俸がその25倍以上になるとは)当時の自分に言っても信じないと思います」と感慨深げに振り返った。

 このオフに中日から移籍した京田陽太内野手、笠原祥太郎投手とは同い年。特に京田は、DeNAのチーム内でも流行している人気ゲーム「マリオカート」の愛好者とあって、佐野は「マリオカートでは僕がベイスターズを代表しているつもりなので、そう簡単に負けられない。マリオカートでおもてなしと言うか、まずはベイスターズのレベルの高さを見せたい」と笑わせた。ことゲームの話となると、子どものように屈託のない笑顔を浮かべるところも佐野の魅力の1つだが、京田にとっては、さぞかし溶け込みやすい空気が醸成されることだろう。

 今思えば、2020年の開幕前、まだレギュラーの座も獲得していなかった佐野を、メジャーへ移籍した筒香嘉智外野手の後釜として主将&4番に指名したアレックス・ラミレス前監督も慧眼だった。“主将4年目”へ向け、佐野は「今年はチームメートみんなで悔しい思いをしたけれど、昨年の最下位から2位になり、勝つ喜びを感じることもできた。来季目指すところは、今年以上となると必然的に優勝。みんなが強く意識を持てているのではないか」とうなずく。1998年以来四半世紀ぶりのリーグ優勝を遂げるチームの主将には、やはりこの好漢がふさわしい。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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