敵も味方も仰天…100メートル先の“百発百中” 星野仙一監督も一目置いた「神業」

中日でコーチを務めた立石充男氏(左)と星野仙一監督(当時)【写真:本人提供】
中日でコーチを務めた立石充男氏(左)と星野仙一監督(当時)【写真:本人提供】

狙ったところに自由自在…東京ドームの天井にもノックバットで直撃

 現役時代は南海の内野手で、現役引退後は近鉄、阪神などでコーチを務めた立石充男氏のノックは神業であり、芸術的だ。とにかく、狙ったところに正確に打ち込む。それは“練習”のたまもの。「南海での最初、2軍の守備コーチは自分一人だったんで、内野が終われば外野、外野が終わったら内野とずっとノック。休憩なしでだいたい5時間は打ってましたからね」。かつては試合前のシートノックで観客も相手チームの選手も沸かせたこともあった。

 有名なのは広島市民球場での“一撃”だ。当時、星野中日の1軍コーチだった立石氏は何とシートノックでバックスクリーンにブチ当てた。それだけではない。ボールは下のコンクリートではねてセンターのところへ戻ってくる。センターがそれを捕って、サードに投げる。このパフォーマンスにスタンドは大歓声で、相手の広島ナインもベンチで大喜び。後日「立石さん、覚えてますからね。僕はあのノックが忘れられません」とあいさつにきた赤ヘル選手もいたそうだ。

 その技術はとにかく半端ではない。ダイエー1軍コーチ時代には東京ドームで球団フロントから「立石、あの天井の穴に入れられるか、賞金出すよ」と言われて打ったら1球目で穴の横に当たり、杉浦忠監督はじめ、みんなびっくり。フロントは「天井に届くなんて思ってなかった。やっぱりやめる」となった。

 中日2軍コーチ時代は、キャンプで2軍投手コーチの鈴木孝政氏にホームベースのところからレフトのポールに「当てられるか」と言われ「3球あったら大丈夫です」と回答。「当たったらキャンプ中の飲み代を払うよ」と言われたので「いいですよ、やりますよ」。1球目でいきなりぎりぎりの打球を放ち、2球目でクリアの大当たり、さらに3球目も当てたのだ。鈴木氏はただただ驚くばかり。立石氏は「ごちそうさまです」とニヤリだ。

アマ指導の今は「優しい打球です」選手に自信をつけさせるために

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