突然の通告に「断ることしか…」 面談相手が社長に変更…予感あった電撃トレード

5年目24歳で8勝1セーブ…前年には開幕投手も務めていた

 1992年の野田氏の成績は8勝9敗1セーブ。右肘痛もあって出遅れたが7月は月間MVPを受賞するなど健在ぶりもアピールしていた。1987年ドラフト会議で阪神に1位指名されて、九州産交から入団。先発も抑えもこなし、1991年には開幕投手も務めていた。当時はまだプロ入り5年目の24歳で、伸びしろいっぱい。どれだけトレードの理由を説明されても納得したくなかったし「断ることしか考えていなかった」という。

 阪神はその年11月のドラフト会議で、超目玉だった星稜の強打者・松井秀喜を1位入札したが、くじで外れた。中日、ダイエー、巨人、阪神の4球団競合の末、巨人が交渉権を獲得した。「1992年は最後、打てなかったこともあったし、松井を獲れなかったということもあったんでしょうけどね」と野田氏はいう。もしも、あのドラフトで巨人・長嶋茂雄監督が松井の当たりくじを引いていなかったら、もしも阪神・松井が誕生していたら、野田⇔松永の電撃トレードも……。

 ストーブリーグは流れひとつで変わる。よくトレードは成立前に表に出たら、つぶれるとも言われる。だから各球団は情報漏れに神経を使う。野田氏の場合、三好社長から通告を受ける前に、ある程度の覚悟はしていた。「最初は監督と話してくれ、だったのが、途中で相手が社長になったと変更になったんでね。これはトレードかなって思ってはいたんです」。ただし、相手がオリックス・松永とは予想していなかった。実は巨人の可能性を考えていたという。その理由は……。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

RECOMMEND

KEYWORD

CATEGORY