侍J栗山監督がWBCへ示した“嫌われる覚悟” メジャー陣に寄せる感謝と期待

11月の強化試合の手応えは「全くない。というか分からない」

 36歳にして進化し続け、世界の第一線で戦うダルビッシュへの敬意はとりわけ強い。「ずっと長く野球界にいていろんな経験をしてきて、特に彼のやってきたトレーニング、技術、野球に対する考え方、これは本当に本当に、みんなが想像している以上に、もちろん成長しているんだけど、進化しているというか、本当に大人になっているので」。投手陣の柱として勝敗への影響が大きいのはもちろんだが、それ以上に大きな“効果”を期待する。

「そういう感覚を今の若い人たちに伝えてあげたい。僕ができるのは、一緒にやらせてあげることしかなかった。翔平も誠也もそう、とにかく日本の若い選手とやらせてあげる責任というか、どうしてもやらせてあげたいなというのが夢としてあったので、そういう意味で凄く感謝している。ダルも話をしていたら、そういうことを分かって自分が行かないといけないんだと思ってくれていたと思う。こっちが説明する前に、彼らが一流選手として分かっているから」

 強化試合の手応えは「全くない。というか分からない。(WBCは)一発勝負で終わりなので」と話すが、そこに実績も経験も豊富な3人が加わったことは頼もしいことこの上ない。世界一のために必要なことに「点をあげないこと。しっかり守ること」を掲げる指揮官。「誇れるもの」と称える投手力を武器に最少失点で抑え、「ワンチャンスを生かせば勝てるという展開を作らないと」と理想を描いた。

 来春の戦いに思いを巡らせながらも「精神的な我慢って体力なので。やはり筋肉がないと持たない」と、日本ハムの監督を退き、1年で約5キロ減った体重を戻すため、自身のトレーニングも開始した。

 世界一とともに、野球界の未来も考える指揮官の思いは1つ。「日本でも3冠王を獲るような選手(ヤクルト・村上宗隆内野手)が出てきて、佐々木朗希(ロッテ)や山本由伸(オリックス)みたいな投手がいて、こういう選手が一気に揃うっていうのが嬉しいことなので。皆さんには単純に楽しんでほしいと思います」。“史上最強”とも目される侍ジャパンを率い、栗山監督が頂点の景色を見に行く。

(町田利衣 / Rie Machida)

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