イチロー氏から「行ってほしかったです」 日本人初のメジャー野手を夢見た男の決断

イチロー氏に「俺は残ったから頑張ってこいよ」

 その結果、悩んだ末に自分ひとりで広島残留を決断したわけだが「今思えば、残ってよかったのか、行かなくて後悔しているのか、というと、半々ですね」という。ただ、2005年の現役引退後にロイヤルズの臨時コーチなどを務めたことに「現役が終わった後にアメリカの野球に携わらせてくれた9年間というのは、それを精算したかったというか、やっぱり自分の夢ってこうだったんだなって思いましたね」としみじみと話した。

 そして、思い出したようにこう付け加えた。「俺が(メジャー挑戦を)やめた後、(メジャー移籍前の)イチローとたまたま会って『野村さん、行ってほしかったです』って言われた。同じようなタイプの俺が先に行っていたら、イチローもこれぐらいできるってイメージが湧いたのに、ってことで言ったんじゃないかな。俺は残ったから頑張ってこいよって話したけどね。懐かしいね」。

 もしも、あの時、野村氏がメジャーに行っていたらどうなっていただろうか。「それは想像できないね。行っていないんだから。だから、行った人はすごいよ」と微笑む。「今は前みたいに、日本に残ったらいいのにとか、なんで出ていくんだよとか、ファン心理もだいぶ変わってきているから行きやすい環境。トライしている人たちに対して行ってきなさい、頑張っておいでよという後押しはすごくあると思うんで、どんどん俺は行っていいと思うし、やるからには頑張ってほしい」と現役世代にエールも送った。

 そんな野村氏は現役時代に数々の記録を達成しているが、次の話は1995年の打率3割、30本塁打、30盗塁のトリプルスリーについて。これに関しては“謎”が多いという……。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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