WBCで韓国代表が目の色を変えて戦う理由…「兵役免除」なしでも大きな“人参作戦”

東京五輪にも出場したイ・ジョンフ(上)【写真:Getty Images】
東京五輪にも出場したイ・ジョンフ(上)【写真:Getty Images】

成績に応じた「FA短縮」がごほうび…丸1年早まるケースも

 3月に行われるワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンドで、日本と同じプールBに入ったのが韓国代表だ。日本とはWBCでも数々の名勝負を繰り広げ、2009年の大会では決勝で対戦し日本が勝利した。そして国際大会のたびに話題となるのが、韓国の選手が意地をかけて向かってくる理由だ。ただWBCには五輪のような“兵役免除”はない。それでも韓国プロ野球に所属する選手にハッパをかける“しかけ”が用意されている。

 現在スポーツにおける成果で、成人男子に科される兵役の義務が免除されるのは、五輪の金銀銅いずれかのメダルか、アジア大会の金メダルを獲得した場合のみだ。2006年の第1回WBCで、韓国はベスト4という結果を残した。この時は世論の高まりを受け、元阪神のオ・スンファンや元ロッテのキム・テギュンの兵役が免除されたものの、現在WBCは対象となっていない。

 代わって、韓国プロ野球に所属する代表選手に与えられるのが、代表チームへの参加、結果に応じた「FA日数補償」だ。WBCの他にも五輪、プレミア12、アジア大会、この秋に復活するアジアプロ野球チャンピオンシップに設定されており、WBCの場合代表チームへの参加で10ポイント、その後は成績に応じ、8強進出で10ポイント、4強進出で10ポイント、準優勝で10ポイント、優勝で20ポイントが与えられる。1ポイントを1日としてFA日数を消化したものとして使用でき、WBC優勝なら計60日分のFA日数を短縮できるのだ。日本と同じく145日の1軍在籍で1シーズンとして扱われるため、その4割強の日数は大きい。

 今回のWBCで、この制度のため恩恵を得る可能性があるのが、来オフのメジャーリーグ挑戦を公言しているイ・ジョンフ外野手(キウム)だという。今季で韓国プロ野球でのプレーは7年目。ポスティングシステムを使う権利を得るため、すでに所属のキウムもオフのメジャー挑戦を容認している。

 ただ韓国紙「イルガンスポーツ」の報道によれば、イ・ジョンフがWBCと今年開催予定の杭州アジア大会で優勝したり、WBCでは準優勝でもアジア大会に優勝、さらに11月のアジアプロ野球チャンピオンシップに出場した場合、過去の獲得ポイントと合わせてFA資格を1年早く獲得できる可能性があるという。FA宣言しての移籍なら、キウムへの補償金が必要なくなる分選手が良い契約を結べる可能性は高くなる。

 またWBCでは、優勝すればチームに10億ウォン(約9430万円)、準優勝で7億ウォン(約6600万円)、ベスト4で3億ウォン(約2830万円)の報奨金が韓国野球委員会(KBO)から支出される。これは大会から優勝される賞金とは別。過去2大会は1次ラウンド敗退に終わっている韓国代表。2017年秋に設けられた「FA補償」がWBCに適用されるのは今大会が初めてで、どんな結果を残すだろうか。

(Full-Count編集部)

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