「リリーフの方がよほど難しい」 WBCでは超・分業制? 吉井投手コーチが貫く信念

2022年11月の強化試合でマウンドに向かう吉井コーチ(左)【写真:荒川祐史】
2022年11月の強化試合でマウンドに向かう吉井コーチ(左)【写真:荒川祐史】

“第二先発”の適性にも個人差が「やっぱりこれは先発ではない」

 またこの大会に特有のルールとして、投球制限がある。どれほど好投していても、規定の球数が来れば降板しなければならない。このとき“第二先発”として起用される投手にも、向き不向きがはっきりあるという。

「ふだん先発をやっている投手を使うことが多いけど、やっぱりこれは先発ではない。第二先発とは呼ぶけど、適性を見極めるのが難しい。メジャーでやっている投手の方がショートスターターとか、オープナーが普通になっていて、そういうことに慣れているかもしれない。日本では、先発じゃない投手が長いイニングを投げることがそこまで見られないから」

 さらに2009年のWBCで、ダルビッシュが大会途中に先発からクローザーになったような“持ち場の変更”にも「凄いギャンブルになってしまう。いい先発投手がいいクローザーになるかといえばそうじゃない」と懐疑的だ。

 吉井氏はロッテのピッチング・コーディネーターの職にあった昨季、1、2軍様々な試合に足を運んでいた。編成業務の一環ではあるが、どこかで日本代表コーチとして、投手の適性を探る目を持っていたはずだ。コーチとして日本ハムでもソフトバンクでも、そしてロッテでもブルペン全員を生かすような“神運用”を見せてきた吉井氏が、どんな“チーム”を作り上げるのか。侍ジャパンの勝敗以上に、楽しみにしている。

〇著者プロフィール
羽鳥慶太(はとり・けいた)神奈川で生まれ、愛知、埼玉などで育つ。立大卒業後、書籍編集者を経て2001年、道新スポーツに入社。プロ野球日本ハムを12年間担当し、WBCなどの国際大会、アマチュア野球、平昌冬季五輪なども取材する。2021年よりFull-Count編集部所属。

(羽鳥慶太 / Keita Hatori)

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