韓国左腕がまさかの“タイトル辞退” 投手コーチも仰天、登板拒否の裏にあった思いやり

ダイエーコーチ時代の藤田学氏【写真:本人提供】
ダイエーコーチ時代の藤田学氏【写真:本人提供】

2002年、ク・デソンは最優秀防御率の可能性がある中で登板を“拒否”

 そんなオリックスコーチ時代で忘れられないのは2002年のク・デソン(具臺晟)投手と金田政彦投手の両左腕による防御率のタイトル争い。「最終的には金田が取ったんですが、ク・デソンにも投げるチャンスはあったんです。通訳を通じて『投げたら抜けるけど』と伝えると『僕は韓国でタイトルを取ったから、金田に取らせてあげてください』って言って投げなかったのには驚きましたね」と明かした。

 振り返れば、いろんな選手との出会いがあった。「(ダイエー時代の)下柳(剛)はものすごく練習する子。冬のランニングメニューを夏でもこなしていた」「野手のコーチに言われて、ショートからの送球がスライドする川崎(宗則)のスローイングを指導したこともあったけど、彼は本当に何事にも一生懸命でしたね」……。それこそ話し始めれば、キリがないほど、名前が次から次へと出てきた。

 2023年シーズンにソフトバンクからメッツに移籍した千賀滉大に関しては、ソフトバンク編成担当時代に初めて見たという。「時々、いいボールは投げてましたが、球速はそれほど出ていませんでしたね」。それが日々の練習で変わっていったわけだが、藤田氏は「ある日、練習を見に行ったら、彼はいろんなことをやってました。超人みたいな投げ方も目指していたんですよ」とも口にした。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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