選手獲得の裏に…高度な“騙し合い” 「言葉ひとつで駄目に」編成担当の仕事の極意

ソフトバンクで活躍したリック・バンデンハーク【写真:藤浦一都】
ソフトバンクで活躍したリック・バンデンハーク【写真:藤浦一都】

海を渡り助っ人も調査、バンデンハークの活躍を直感し獲得進言

 ほとんどの選手について調査したという。「例えばFAの人的補償で何人か候補がいたとして『この選手はどうだ』って聞かれて『この選手はこうです』と即、答えられないといけないですからね」。ちなみに藤田式の選手の覚え方は「スコアブックには名前をわざと書かないこと」だという。「背番号と選手の特徴だけを書いて、この選手はこういう走り方、こういう打ち方って感じで見ていけば、自然と頭の中に入ってきた」そうだ。

 外国人選手の調査も経験した。「アメリカに行かせてもらって、3Aもメジャーのキャンプも見て勉強になりました。大変でしたけどね。3Aの調査では1か月で100人以上の投手を見ました。移動の連続で、行って帰って、また出かけて、寝るのは飛行機の中なんてこともありましたが、いろんな人と話ができて、いろんな知識や見方を教えてもらって、感謝するばかりです」という。

 韓国にも行った。「その時はサムスンにいた(リック)バンデンハークと、もうひとり候補のピッチャーがいたんですが、事前にビデオで見た時は、そのもうひとりの方がよかったんです。でも実際に見たら、全然違った。バンデンハークの方がいいと思ったんで、こっちが獲れればいいねって推薦しました。獲得が決まった時はうれしかったですよ」。

 ソフトバンク入りしたバンデンハークは先発投手として大活躍。藤田氏の見る目も正しかったわけだが、このような成功例ばかりではなかった。後に阪神で絶対的ストッパーとして活躍したロベルト・スアレス投手に関しては大失敗だったという。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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