大谷翔平のエ軍契約延長は“ゼロ”なのか 逆転残留へ欠かせぬオーナーの“翻意”

モレノオーナーは就任当初に大補強敢行、1年目の2004年から6年間で4度の地区優勝

 モレノオーナーは2003年途中にウォルト・ディズニー社から1億8400万ドル(約250億円)で買収。2003年オフ、後に殿堂入りするブラディミール・ゲレーロ、通算247勝右腕バートロ・コロンら一流選手を獲得する大補強を敢行した。2004年からの6年間で4度の地区優勝。2002年はワイルドカードからワールドシリーズ制覇へ突っ走ったが、“お金”でワールドシリーズ制覇を狙えるチームを作った。まさかの身売り中止を決断した今回、すっかり堅くなった財布の紐を解くことはあるのか。

 今ではメジャーを代表する大スターとなった大谷が、3年目の2020年までは故障に苦しんだ。チームではトラウトに次ぐ古株。6年目となるチームへの愛着は今もあるだろう。ただ、情だけで今後を決めるわけにいかない。そして、何より勝てるチームでのプレーを渇望している。昨季の最終戦後には「今日で終わってしまうのは不本意なところではある。本来ならば、ここからがスタート」と吐露。個人よりもチームのことで頭がいっぱいの様子だった。

 エンゼルスとの再契約には、まずモレノオーナーの課税ラインなど無視した大盤振る舞い、そして勝てるチームの土台作り――。やはり考えれば考えるほど、エンゼルス残留への道は極めて険しいものに見えてくる。ただ、3度のMVPを誇るトラウトとの共闘は、見ている全てを魅了する。それだけに大谷の“逆転残留”を期待したくなる。

○著者プロフィール
小谷真弥(こたに・まさや)1983年、大阪・大阪狭山市生まれ。埼玉・東松山市育ち。明大明治高、明大野球部を経て2006年報知新聞社に入社。地方部(富山・石川)を経て2009年に運動第一部(野球部)へ異動。2009年ロッテ、2010、11年横浜、2012年から巨人、2015年から日本ハム、2017年からメジャー担当。2019年2月からFull-Count編集部に所属。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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