侍Jで“最も替えが利かない男” 源田壮亮に課された使命「やってやるぞという気持ち」

侍ジャパン・源田壮亮【写真:荒川祐史】
侍ジャパン・源田壮亮【写真:荒川祐史】

「少し変化しやすいので送球は丁寧に投げたい」WBC球も対策済み

 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)へ向け宮崎キャンプ中の侍ジャパンで、“最も替えが利かない選手”は、源田壮亮内野手(西武)ではないだろうか。源田の控えと目される中野拓夢内野手は、所属の阪神では今年から二塁にコンバートとなった。侍ジャパンで唯一人の本職ショートとなった源田が、3大会ぶりの優勝への鍵を握っている。

 昨年まで5年連続ゴールデングラブ賞に輝き、「#源田たまらん」で通っている遊撃守備は堅実にして華麗。まさに唯一無二だ。ただ、球界全体を見渡すと、ややショートの人材不足感も否めない。宮崎キャンプ中のシートノックでは、源田と中野が遊撃に入ることが多いが、中野は二塁に回ることもある。栗山英樹監督は、山田哲人内野手(ヤクルト)と牧秀悟内野手(DeNA)が火花を散らす二塁のレギュラー争いについて、「甲乙つけ難いどころか、僕の中では中野も含め、甲乙丙つけ難い」と語る。となるとますます、ショートは“源田一択”の感が強い。

 城石憲之内野守備・走塁兼作戦コーチは「ショートはそんなに簡単にできないので、今のチームだとその2人(源田、中野)ですね」と明言。今回のメンバーの中では、周東佑京内野手(ソフトバンク)も1軍で遊撃手としてプレーした経験を持っているが、城石コーチは「そこまでいっちゃったら厳しい」との見解を示す。万が一、源田に怪我でも発生したら──と想像するとゾッとする。

 源田の役割の大きさは、坂本勇人内野手(巨人)の控え遊撃手として結果的に代走と試合途中からの三塁守備に限られた東京五輪の比ではない。「やってやるぞという気持ちが強い」と正面から受け止める。東京五輪での使用球は日本のSSK社製で、今大会では革質が滑りやすいと言われるWBC球に変わるが、「あまり意識はしない。普段のボールより少し変化しやすくて送球にちょっと変な回転がかかると普段より大きく逸れてしまうので、送球は丁寧に投げたいと思います」と既に対策済みのようだ。

 プロ7年目の30歳は、「ショートとして周りを見ながらプレーしないといけないし、年齢的にも野手では上の方なので、声を出してみんなで一体感を出せるように頑張りたい」と自覚している。西武でキャプテン就任4年目を迎えた好漢は、侍ジャパンでもまとめ役にもってこい。メジャーリーガー勢の合流を前に、源田は現状で野手陣が醸し出す雰囲気に「普段から球場で顔を合わせていて、みんな友達感覚で凄くいいと思います」と目を細める。投手陣はダルビッシュ有投手、野手陣は源田がまとめていくことになるのかもしれない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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