侍・宇田川優希、人生変えた“居酒屋の夜” 「呼ばれなかった…」落胆消した友の説得

オリックス・佐野如一(中央)【写真:真柴健】
オリックス・佐野如一(中央)【写真:真柴健】

プロに“引っ張った”佐野如は宇田川の躍進にも「驚きはない」

 必死に奮闘すると心に誓い、2人は入団。懸命なアピールが実り、佐野如は1年目の3月下旬に支配下選手登録を勝ち取った。一足先に2桁の背番号をつけたが「宇田川が投げているときに守りたいな」と当時、故障もあったチームメートを励ました。宇田川は1年強遅れた昨年7月末に支配下選手登録を勝ち取ると、「シンデレラボーイ」と呼ばれるように一気に躍動した。

「今、宇田川がすごいってなっているけど、実際、僕はそうなると思って見てきた。やっと本来の宇田川に戻ってきたなと。あの(ドラフトの)時は怪我をしていて本調子じゃなかった。だから育成(契約)という感じだったと思う。昨年の後半戦の活躍とか、日本代表入りとか、いずれそうなると思っていた。当然でしょう、とまでは言えないですけど、そこまで驚きはないです」

 描いた青写真を叶える時がきた。佐野如は昨秋に「打撃改革」を行っていた。振り子打法に挑戦中で、宮崎キャンプ中の23日、DeNAとの練習試合ではマルチ安打を放った。「どうしても構えたところからバットがスパッと出なかった。左肩が下がって、真っすぐが捉えられなかった。綺麗にバットを出すにはどうしたら良いかなと考えた結果、足に意識がいきました」。守備でも外野手登録ながら「可能性を広げたい」と一塁と三塁に挑戦している。

 育成入団を決めた“あの夜”を忘れもしない。「自分たちで決めたからには、頑張るしかない。その環境をくださっているチームに感謝しています」。ガムシャラに進む。まだ見ぬ「下克上ストーリー」を、ひた走るだけだ。

(真柴健 / Ken Mashiba)

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