“あだ名”の変化で分かる侍の結束力 ダルの他にも「先生」、栗山監督の愛情表現は?

WBCに向け調整を続ける侍ジャパン【写真:小林靖】
WBCに向け調整を続ける侍ジャパン【写真:小林靖】

村上は岡本を「師匠」、鶴岡ブルペン捕手「鶴さんと呼ばれるようになった」

 3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を戦う野球日本代表「侍ジャパン」が、世界一を奪還するために必要な要素の一つは「結束力」だろう。27日、宮崎キャンプが終わり、ダルビッシュ有投手(パドレス)は「仲良く短期間でなれている」と手ごたえを感じていた。それは選手同士の呼び名の“変遷”を見ても感じ取れた。

 今回、最も注目を集めたダルビッシュは、毎日のように若手投手陣に変化球の握りやトレーニング方法などを教え、厚澤和幸コーチからは「先生」と呼ばれた。メジャーの舞台で活躍する右腕は決して上から目線でなく「あくまで情報交換」と目線を合わせて接していた。周囲から第1クールは「ダルビッシュさん」と呼ばれていたが、どんどん「ダルさん」と呼ばれるようになったように、歳の離れた選手とも打ち解けるのが早かった。

“先生”と呼ばれていたのは、ダルビッシュだけではなかった。キャンプ最終日だった27日、サブグラウンドで高橋宏斗投手(中日)が「先生!」と呼んだのは、今永昇太投手(DeNA)だった。今永は“投げる哲学者”と称される頭脳派左腕。2人は9歳差があるが、ダルビッシュ同様の姿が、そこにはあった。

 第1クールでは、チームになじめず苦悩を打ち明けていた宇田川優希投手(オリックス)も今では投手陣の中心で音頭を取る。20日に「宇田川投手を囲む会」が開催され、翌日には山田哲人内野手(ヤクルト)から「ウダ、ウダ!」とイジられるようになった。投手も野手も関係なかった。村上宗隆内野手(ヤクルト)は岡本和真内野手(巨人)のことを「師匠」と呼んでいる。理由を聞くと「師匠は師匠なんで」と一言。キャンプ中には岡本からチョコレートをもらう“甘いシーン”も見られた。

 選手とスタッフのコミュニケーションも密になっている。栗山英樹監督も「高橋くん」から「ヒロト」になった。また、鶴岡慎也ブルペン捕手も「11月(の強化試合)から帯同しているから。鶴さんと呼ばれるようになりましたよ」と話していた。呼び方の変化を見ても、チームが一致団結している。

 突き進む方向さえ決まれば、スーパースター集団は強い。その先頭には「ダルビッシュ先生」が君臨している。

【あだ名一覧】誰が誰を何て読んでいる? ひと目で分かる侍ジャパンの呼び名

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