中日投手陣に“零封”された侍打線は大丈夫? 栗山監督が期待する2つの要素

村上音無しも吉村コーチ「我慢しなければいけないところで我慢している」
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に挑む侍ジャパンは2日、バンテリンドームで中日と合同練習を行った。野手陣は6イニングを想定し、のべ23人の打者が4安打3四球。2併殺の一方、適時打は1本も出ず“零封”された形になった。練習後に会見した栗山英樹監督は「どうですか? 皆さんが思っている通りです」と苦笑し、「これだけのバッターたちなので、(WBC本番には)必ず合わせてくれるだろうけれど、選手たち自身も、状態を一気に上げて安心して迎えたいだろうと思う」と現状に一抹の不安をうかがわせた。
2月に行われたソフトバンクとの壮行試合2試合を通じてヒットが出なかった村上宗隆内野手(ヤクルト)、山川穂高内野手(西武)、山田哲人内野手(ヤクルト)は、この日も音無し。村上は3打席に立って空振り三振、四球、左飛。山川は空振り三振、遊ゴロ併殺打、一邪飛。山田は一ゴロと四球。打線の軸として期待される3人の状態が、気がかりではある。
山川、山田らは全体練習終了後もグラウンドで“居残り特打”に取り組み、吉村禎章打撃コーチが身振り手振りをまじえてアドバイスする一幕も。吉村コーチは「(山田)哲人は調子が悪いのではなく、『良くなってきたので、もう少し打ってもいいですか?』と言ってきた」と強調。村上についても「昨年あれだけの成績を残したから、壮行試合でもだいぶ警戒されていた。WBC本番でも、相手投手がどれだけまともに勝負してくれるか疑問。本人も結果を出したいだろうけれど、幸いストライクとボールの見極めはできているし、我慢しなければいけないところで我慢して、四球を選んでいる。自分なりの調整はできているのではないか」と前向きだ。
とは言え、本番前の実戦は、3、4日に行われる中日との壮行試合「カーネクスト 侍ジャパンシリーズ 2023 名古屋」(バンテリンドーム)2試合、6日に阪神、7日にオリックスと対戦する「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC 強化試合」(京セラドーム大阪)2試合の計4試合のみ。やや湿りがちな打線にとって、導火線となりうるのは何か。
1つは、これまであまり手の内を明かしてこなかった、機動力を絡めた栗山采配だろう。指揮官は「残り4試合はいろいろな意図を持って、こちらが(試合の進め方を)預からせてもらう」と、いよいよ本番さながらの采配を振るうことを宣言。「僕自身は、あと4試合しかないことを肝に銘じる。選手たちは慌てず、自分らしくできるように持っていってくれればいい」と語った。
そしてもう1つはやはり、大谷翔平投手(エンゼルス)とラーズ・ヌートバー外野手(カージナルス)が3日に、吉田正尚外野手(レッドソックス)も大阪で合流すること。指揮官は「アメリカの選手たちが入ってくれば、化学反応が起こり一気にいけると信じている」と首を長くして待っている。侍打線の本領発揮を1日でも早く見てみたい。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)