“日本育ち”の中国代表1番打者 大谷翔平との対戦に感謝、アーチで見えた次の夢

本塁打を放った中国代表のリャン・ペイ【写真:Getty Images】
本塁打を放った中国代表のリャン・ペイ【写真:Getty Images】

東海大菅生出身の24歳、リャン・ペイ外野手の本塁打に場内どよめき

 侍ジャパンを終盤まで苦しめた中国代表には、確かな手応えがあった。「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC 東京プール」(東京ドーム)の1次ラウンド。日本代表と対戦した中国は1-8で敗れた。唯一の得点は日本生まれ、日本育ちの1番打者、リャン・ペイ外野手のソロだった。「この球場で打ってみたい。そう思っていたんです」。幼き頃からの夢を叶えた一打でもあった。

 取材のミックスゾーンに立ち止まった24歳の若武者は試合後、日本語で報道陣に対応した。まずは0-3の6回2死、侍ジャパンの2番手・戸郷から放った左越えの本塁打について。「夢が1つ達成できました」。幼き記憶がよみがえっていた。東京・国分寺の学童野球チームでプレーしていた小学校時代のこと。軟式の野球大会「ジャビットカップ」で東京ドームの地を踏んでいた。その頃はフェンスの向こうに打球を飛ばすことなんて、想像もできなかった。忘れられない日になった。

 中学硬式の名門・調布シニア、東海大菅生高を経て、今は中国で野球を続けている。プロになり、国際大会に出るチャンスを掴んだ。迎えた今回のWBC。「打った瞬間は入ると思わなかったので、ちょっとびっくりしました。大谷投手の速球に合わせ、意識していたので、反応で打てました」と振り返った一撃。パンチ力のある打撃に東京ドームはどよめいた。初回の右翼の守備でも好守を見せるなど、存在感はあった。

 中国野球。まだまだナショナルチームでいえば、日本との力の差はあるかもしれない。それでもメジャーリーグも中国の選手の育成に力を注ぎ、着実に力をつけているのは確かだ。その証拠に、この試合も序盤まで侍ジャパンを苦しめた。リャンたちが見せた戦う姿勢は、きっと母国の子どもたちの育成へもつながっていくはずだ。

 侍ジャパンにはメジャーを代表するダルビッシュ有投手(パドレス)、大谷翔平投手(エンゼルス)といった選手たちがそろう。中国野球の発展にとって、この対戦は勝敗以上に価値のあるものになったかもしれない。

未来ある中国野球にとって「ステップアップになった」

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