「酒でも飲みながら」 福留孝介の悩みを聞くはずが…潰されて「おんぶしてもらった」

選手・コーチとして長きにわたり活躍した高代延博氏【写真:山口真司】
選手・コーチとして長きにわたり活躍した高代延博氏【写真:山口真司】

2004年に中日コーチに復帰…今度の監督は落合博満氏

 キャンプ中の高代氏は福留氏だけでなく、他の選手にもノックの嵐。「1日、3000本くらいは打っていたから、疲れもあったと思う。酒もすぐ回ってきた」。目的だった野球の話もしたが、途中からはもう……。「そろそろ帰ろう、しんどいと言ってタクシーに乗って寝てしまった。そしたら、孝介が着きましたよって」。宿舎ではなかった。「沖縄市で降ろしやがって、また飲みに行って……。本当にむちゃくちゃ酒が強いのよ。ホテルに帰る時はおんぶしてもらったもん」

 福留氏は、その後、外野手として大成功を収めたが、高代氏は思わぬ展開になったあの日のことが忘れられない。そして、練習に明け暮れた日々も印象深い。「(2003年に)ロッテのヘッドコーチになった時、孝介のご両親が鹿児島キャンプに来てくれた。お酒を持ってきてくれた。たぶん、ご両親も強いんやろなって思ったね」。福留氏にとっても、あの頃の苦労は決して無駄にはならなかったはずだ。

 2004年シーズン、高代氏は中日のコーチに復帰した。今度の指揮官は落合博満氏だった。「年は落合さんがひとつ上。(社会人時代に)東芝同士(高代氏は東芝、落合氏は東芝府中)だったけど、電話がかかってくるとは思わなかった。『(中日)球団から電話があるよ』って言われた」。その電話で入団が決まったのだが、実はその時“手違い”もあった。

「朝9時半ごろに電話があった。てっきり中日の人と思って、あっドラゴンズの……って言ったら『高代、ヤクルト(監督)の若松だよ、もう中日に決まったのか。遅かったな』って」。ヤクルト・宮本慎也内野手が推薦してくれていたのだった。ありがたい話だったが、中日入りを決めたからには、何としても貢献しなければならない。でも、いきなり困った。高代氏は落合監督に電話したという。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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