ダルビッシュの不安消した“元守護神” 持ち場奪われても…「足が震える場面」で男気

WBC決勝、9回に追いつかれた直後に藤川は真っ先に準備を開始

 藤川と馬原はダルビッシュをバックアップした。「キャッチボールの段階から2人はダルビッシュとよく会話をしてくれました。すべての内容は聞いてませんが、2人が(抑えの)経験を伝えてあげることでダルビッシュも安心できたんじゃないかとみていました」と与田氏は話す。そして、何度考えても忘れられないのは決勝戦の9回にダルビッシュが同点に追いつかれた時に、藤川が真っ先にブルペンで準備してくれたことだという。

「私が声を掛ける前に行ってくれた。みんな足が震えるような場面が続く中で黙々とね。これから何かあった時は俺が助けに行くんだという姿勢。あれで安心感が生まれたし、日の丸を背負って戦う選手が心も気持ちの部分でもトップクラスでいてくれたことが優勝につながったような気がします」。同点にされ、サヨナラ負けのピンチだったが、ダルビッシュは踏ん張った。そしてイチローのタイムリーで2点勝ち越した後の延長10回のマウンドにも上がって、優勝をつかんだのだ。

 原監督と山田コーチによる“ダルビッシュ続投”の決断も大きなポイントだったと与田氏はみている。「(延長10回に)日本が勝ち越しましたが、攻撃はけっこうな時間がかかりました。リリーフ投手としてベンチで過ごす時間もダルビッシュは不安だったと思いますが、それでももう1イニング行かせた。非常に難しい2イニング目だったと思う。大会が終わって考えれば考えるほど、やはり監督ってすごいな、メインの投手コーチは大変だなと思いましたね」としみじみと話した。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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