不調も受け入れ「落ち込む必要ない」 侍Jを導くダルビッシュの“言葉の力”

ダルビッシュは緊張感の中でも遊び心を持っている

 自身は2009年のWBCで世界一を経験。国の代表として戦うことや、日本の熱が上がることも経験済みだった。その重圧がパフォーマンスに影響が出ることも知っている。その一言、一言が、選手の心に潤いを与え、新しい世界へと導いている。

 選手だけでなくファンへの気遣いも忘れない。ベンチには右脇腹痛で離脱した鈴木誠也外野手(カブス)のユニホームがかけられている。そこに白い“ばんそうこう”を貼ったり、『無敵』と書かれたハチマキを貼り付けた。ダルビッシュは鈴木に向けてだけでなく、ファンへのメッセージも込めていた。

「あれはユニホームがテレビに映ることもあると思うので、ファンの方もそれを見て、『ユニホームあったら、面白いかな』と。そういう遊び心、みんなありますから」

 合宿中からの雰囲気づくり、ベンチ内での振る舞いが選手たちの能力を引き出したのは間違いない。「みんな楽しそうで、結果も出て良かった。(ベンチの)裏もすごく雰囲気いいですよ」「大谷選手を中心に負けないぞという気持ちが出ています。打線もよかったと思います」と1次ラウンドを振り返った。

 12日の豪州戦では、試合前練習の後に“サイン会”を行うなどリラックスした時間を過ごしていた。まずは自分自身が気負わないこと、リラックスすることを体現し、言葉でも伝える。ゲームのない3日間、侍メンバーにはいい時間を過ごしてほしい。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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