ヌートバーはなぜ愛される? 斎藤佑樹氏が目を奪われた真摯な姿勢と細かな“気配り”

2月にカージナルスのキャンプ地で再会したラーズ・ヌートバー(左)と斎藤佑樹氏【写真提供:斎藤佑樹】
2月にカージナルスのキャンプ地で再会したラーズ・ヌートバー(左)と斎藤佑樹氏【写真提供:斎藤佑樹】

斎藤佑樹氏は2月下旬にヌートバーと17年ぶりに再会「侍ジャパンでの数週間を宝物に」

 野球日本代表「侍ジャパン」のラーズ・ヌートバー外野手の人気が急上昇している。「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC 1次ラウンド 東京プール」では「1番・中堅」として16日の準々決勝(TBS系列地上波で生中継)進出に貢献。元日本ハム投手の斎藤佑樹氏は2月下旬にカージナルスのスプリングトレーニングに参加していた日系メジャーリーガーを取材。走攻守でハッスルプレーを見せる“たっちゃん”が、ここまで愛されるエピソードを明かした。

 斎藤氏が早実時代に高校日本代表で米国遠征した際、日本のバットボーイをしていたのが8歳のヌートバー少年だった。「写真を撮ろうよ、サインを書いてよ、といろんな選手に声をかけたり、高校生に交じってハイタッチの列に入ったり。何事にも物怖じしないタイプで、当時はまだ無邪気な野球少年という印象でした」。

 あれから17年後。ヌートバーは日系選手として初めて侍ジャパンに選出され、斎藤氏はフロリダ州ジュピターのカージナルス施設で再会した。「マイ・アイドル」と大歓迎され、「こちらをどうぞ」と差し出された。ミネラルウォーターだった。

「カージナルスのキャンプ地はものすごく暑かったんです。気温30度を超えていて、湿気もある。そんな中でヌートバー選手は僕を含めたスタッフ全員にお水を差し入れてくれたんです。別の取材班にはドーナツを差し入れたと聞きました。それに日本語も一生懸命覚えようとしていて。現役バリバリのメジャーリーガーが寄り添ってくれる。すごく嬉しかったですし、誰もが好きになりますよね」

 取材ではヌートバーとのキャッチボールも実現した。「レジェンドとキャッチボールできるなんて」と大喜び。斎藤氏からグラブをプレゼントされると、「本当にもらっていいのか?」と大感激されたという。ただ、そんな無邪気な一面だけではない。斎藤氏は練習中のヌートバーに目を奪われたという。

「取材をしている時は和気あいあいと話をするんですけど、いざ練習となると黙々と丁寧にやっていました。ウエートトレーニング場ものぞけたんですけど、黙々とやっていた。自分がやるべきことはちゃんとやるという印象でした」

 ヌートバーの代表選出が発表された際、栗山英樹監督は「もう100%全員が好きになる」と語っていた。16日は決勝ラウンド進出をかけた準々決勝。斎藤氏は「小さい頃に思い描いた日本代表になることができた。僕が言うことじゃないかもしれませんが、この侍ジャパンでの数週間を宝物にしてほしいですね。これから続く長い野球人生の中で、今回の経験があってすごく良かったと言ってもらえるような大会にしてほしいです」と、期待を込めた。

(小谷真弥 / Masaya Kotani)

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