鬼気迫る大谷翔平に感じた日本野球の未来 専門家が唸った“勝利最優先”の背中

イタリア戦に先発した侍ジャパン・大谷翔平【写真:ロイター】
イタリア戦に先発した侍ジャパン・大谷翔平【写真:ロイター】

5番に降格した村上が2安打「納得いくスイングでライナー性の打球」

 大谷の活躍も素晴らしかったが、栗山監督の采配も見事だった。この日は1次ラウンドで14打数2安打、打率.143と苦しんでいた村上を5番にして、吉田が4番に昇格。吉田は7回にソロを放つなど3打数1安打2打点、村上も5回に待望の初適時打となる中越え二塁打を放つなど3打数2安打1打点と躍動した。

「栗山監督もチャンスの場面で打線を切りたくない考えがあったのかもしれません。ただ、村上、吉田のお互いにとっても良かった。特に村上は久しぶりに初球に彼らしいスイング。後半の2打席は素晴らしかった。納得いくスイングでライナー性の打球で外野の頭を越えていった。彼らしい強い打球を見せてくれたのではないでしょうか」

 1次ラウンドを含め日本で行われた試合は5戦5勝。東京ドームには多くのファンが訪れ、侍ジャパンの一挙手一投足に目を奪われた。大谷、ダルビッシュ、鈴木(怪我で辞退)が参戦を表明し注目度が高まった。

「過去にはイチローが出場し盛り上げ、次の世代にバトンを繋いだ。今回は大谷、ダルビッシュがその役割を担った。もう投げることはないでしょうが、日本のファンに勇気と希望を与えたのは間違いない。この姿を見た少年、少女たちが野球を目指すことになれば、人口が減少している野球界の発展にも繋がる」

 試合を重ねるごとに“史上最強”の姿を証明する侍ジャパンは、これで5大会連続でベスト4進出。準決勝はメキシコとプエルトリコの勝者と対戦が決まっている。日本のファンに別れを告げ、3大会ぶりの優勝を目指し米国の地に向かう。

(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)

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