降板後もブルペン入り「思った以上に難しかった」 ダルビッシュの人知れぬ“苦悩”

イタリア戦に出場した侍ジャパン・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】
イタリア戦に出場した侍ジャパン・ダルビッシュ有【写真:Getty Images】

メジャーリーガーで唯一宮崎キャンプから参加、若手に気遣いも

 日本で最後の登板かもしれない――。感謝の気持ちをボールに込めた。16日に東京ドームで行われた「カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC 準々決勝ラウンド 東京プール」のイタリア戦で、ダルビッシュ有投手(パドレス)は7回からリリーフで登板した。8回にドミニク・フレッチャー外野手に被弾するも、2回を投げ2安打1失点。雄叫びを上げる姿もあった。宮崎キャンプで2月16日に来日してからちょうど1か月。「自分としては思っていた以上に難しかったかな」と苦悩を明かした。

 パドレスの寛大な理解もあり、メジャー組で唯一、宮崎キャンプから参加した。今季からピッチクロックの導入などがあり、各球団スプリングトレーニングで調整に追われる中、ダルビッシュは2月16日に来日。契約の都合上、3月6日まで実戦の出場ができないなど、制限がかかっても侍ジャパンを優先する姿勢を見せた。

 侍ジャパンでは、チーム最年長として若手と積極的に交流を図った。環境になじめず苦悩している宇田川優希投手(オリックス)を気遣ったり、投手陣とスワンボートやラーメンに行ったりするなど、オフを満喫する一面も。「戦争に行くわけじゃない」「気負いすぎ」と助言し、常にチームの輪を大事にしていた。

 しかし、誰よりも覚悟をもっていたのはダルビッシュだった。宮崎キャンプ前の2月上旬にパドレスと42歳になる2028年まで6年1億800万ドル(約142億円)の大型契約を結んだ。そのパドレスが調整を一任してくれている。結果に応えないわけにはいかない。

 この日も、8回に降板後、再びブルペンに入って投げ込んだ。理由は、2回しか投げていなく開幕までの調整として球数が少ないから。「僕は開幕からローテーションを回って投げなければいけないので」。たとえWBCの試合中でも、シーズンのことを考えた準備をしていた。

 日本で最後かもしれない登板が終わり、「苦しい部分もあったり、家族もいなかったので難しい部分も正直ありました」と珍しく正直な本音も漏らした。しかし、そんな素振りを見せずに、若い侍戦士たちをまとめ上げる姿は、さすがとしか言いようがなかった。

(川村虎大 / Kodai Kawamura)

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