伊藤智仁コーチが引き立てるヤクルト投手陣 専門家が見る“充実の春”の舞台裏

ヤクルト・伊藤智仁1軍投手コーチ【写真:荒川祐史】
ヤクルト・伊藤智仁1軍投手コーチ【写真:荒川祐史】

球団OB五十嵐亮太氏の目を惹いたブルペン投球とは

 3月30日の今季開幕まで約2週間。プロ野球12球団はオープン戦に臨みながら最終調整を進めている。この春、精力的に各チームのキャンプ地を訪問・視察したのが、日米球界で活躍した野球評論家の五十嵐亮太氏だ。宮崎・沖縄で数多くのブルペン投球を見学した中でも、特に印象深かったのが古巣・ヤクルトだったという。

「ブルペンでただ数を投げ込んでいるわけではない。投手がみんな、目的や課題を持ってブルペンで投げている様子が伝わってきました。いい練習ができている背景には、伊藤智仁投手コーチの存在があると思います」

 五十嵐氏にとってヤクルトの大先輩でもある伊藤コーチは2021年から現職に就き、今季で3年目。ヤクルトでは引退直後の2004年から2017年までコーチとして在籍しており、これが2度目となる。現役時代は“史上最高”とも称されるスライダーの遣い手として鳴らし、現在は的確なアドバイスが魅力のコーチとしてチーム・選手からの信頼も厚い。

 メジャー移籍前に指導を受け、今でも深い親交を持つ五十嵐氏が、伊藤コーチの指導について説明する。

「伊藤コーチはとても研究熱心。選手へのアドバイスも自身の経験に加え、データを活用した裏付けなどを採り入れながら、分かりやすい形で提示してくれるコーチです。投球の幅を広げるために新しい球種に挑戦する時も、選手が納得しやすい提言をしてくれる。例えば、この春は木澤(尚文)投手がチェンジアップを練習していますが、彼にはシュート、カット、フォークという変化球がある中で、もう1つ加えるのであれば何か。それには緩急で打者のタイミングを外しながら、奥行きで勝負できるチェンジアップが有効だということを、木澤の投げる球の回転数や軸の方向などのデータを使いながら教えてくれるんです」

ストライクゾーンは“4分割”で指導

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