侍の魂揺さぶった…源田壮亮“強行出場”の裏側 「折れているか、いないかではない」

侍ジャパンの一員として活躍した源田壮亮【写真:Getty Images】
侍ジャパンの一員として活躍した源田壮亮【写真:Getty Images】

大谷も「身を粉にしてチームのために頑張ってくれている」

 コーチの1人は「ゲンちゃん(源田)は大会中『医学的に折れているか折れていないかを詮索されますが、問題は痛いか痛くないか、僕がプレーできるかできないかでしょう。僕はプロですから、一般の方の感覚で考えてほしくないし、(栗山英樹)監督が診断結果だけを根拠に、なぜこんな状態で起用し続けたのかと批判されるようなことがあったら嫌です』と言っていました」と明かす。

 確かにプロの世界では、チーム事情や故障の程度によっては、骨折を押して試合に出続けるケースがないわけではない。普通にボールを握れなくても、なんとか投げられる握り方を工夫し、探すのがプロなのかもしれない。「ただ、ゲンちゃんの場合は世界最高峰の大会で、優勝のためにミスができない状況でやり切ったのですから、やはり凄いですよ」と前出のコーチは称える。

 実際、源田は負傷を抱えての3試合でも、タイムリーを含め8打数2安打3四球。準決勝・メキシコ戦では、左前に落ちるかと思われた小飛球を、本塁方向に背を向けたまま追い職人芸のポケットキャッチ。昨年まで、5年連続でゴールデングラブ賞に輝いている守備力に、ほころびは見られなかった。

 準決勝終了後のテレビ中継のインタビューで、大谷翔平投手(エンゼルス)は「源田さんもそうですけれど、身を粉にしてチームのために頑張ってくれている。自分も全力で準備したい」と語った。投手としては準々決勝の先発をもって“お役御免”と見られていた大谷が、翌日の決勝に抑えとして登板した背景には、源田の姿に触発された部分があったのかもしれない。源田自身はあくまで事もなげだが、周囲に与えた刺激は計り知れない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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