トラウト斬りの20歳は「タイトル争いに絡む」 専門家が見た“WBC効果”期待の選手

侍ジャパンの一員として活躍したヤクルト・村上宗隆【写真:Getty Images】
侍ジャパンの一員として活躍したヤクルト・村上宗隆【写真:Getty Images】

決勝アベックアーチの村上&岡本コンビが本塁打王争いでしのぎを削るか

 佐々木朗希投手(ロッテ)は2度先発し、1次ラウンドのチェコ戦では、4回途中までエラー絡みの1失点だけ。準決勝のメキシコ戦では4回を投げ、先制3ランを喫したが、大会開幕前の中日との壮行試合では自己最速を更新し、日本選手歴代最速記録に並ぶ165キロ、本戦でも最速164キロを計測し、世界でも稀なスピードを改めて実証した。本人が国際舞台で得た自信も大きいだろう。

 野口氏は「佐々木朗もまだ、中6日のローテを守り切った経験がない。吉井(理人)新監督が就任時に『年間を通して中6日でマウンドに上がることが目標』と語っていた通りになるかどうかがポイント。そこをクリアすれば、おのずとタイトルも近づくでしょうし、どんなすごい数字を出すのかワクワクします」と語る。

 野手陣では、村上宗隆内野手(ヤクルト)と岡本和真内野手(巨人)のひと皮むけた姿が楽しみだと言う。

 村上は4番を張った1次ラウンド4試合で打率.143(14打数2安打)と振るわず、準々決勝以降は打順を5番に下げられたが、準決勝の9回に球史に残る逆転サヨナラ2点二塁打。決勝でソロアーチを放ち、留飲を下げた。野口氏は「本人が早々と『3年後(の次回WBC)は全試合4番を打てるように頑張りたい』と目標を設定したので、彼がいつメジャーへ移籍するかはさておき、この3年間ですごいことになる気がしてきました」と、さらなる成長の糧にすると見る。「今年はWBCに合わせて早めに調整してきた分、開幕直後から打ちまくるかもしれません」と予想する。

 その村上から大会中「師匠」と呼ばれた岡本は、打率.333(18打数6安打)をマーク。さらに吉田正尚外野手(レッドソックス)、牧秀悟内野手(DeNA)と並びチーム最多の大会2本塁打を放った。野口氏が「実質は“3本塁打”ですから」と指摘する通り、準決勝でメキシコの左翼手ランディ・アロサレーナ外野手(レイズ)に、外野フェンスを越える飛球を好捕されるシーンもあった。

「WBCでの打撃を見ていていて、今年は昨年と違い、巨人の4番の座をシーズン途中に他の選手へ明け渡すことはないだろうと感じました。また、誰かが村上の2年連続3冠王を阻止するとすれば、その筆頭候補が岡本でしょう。特に本塁打、打点では十分可能性がある」と野口氏。決勝の米国戦でアベックホーマーを放った両雄による、高いレベルのタイトル争いに思いを馳せた。日本中を熱狂させた侍ジャパンの面々は、プロ野球に戻ってきても目が離せない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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