遺族の思いに心寄せ…少し躊躇った「98」 京田陽太と木下雄介さんをつなぐ背番号の意味

初めて袖を通した新ユニホームお披露目の様子【写真:宮脇広久】
初めて袖を通した新ユニホームお披露目の様子【写真:宮脇広久】

木下さんの追悼試合ではDeNAの選手たちも帽子に「98」

 初めて袖を通したのは、1月23日の新ユニホームお披露目の場。「ぱっと見た瞬間、感じるものがありました」。身震いして、背筋が伸びた。「まずは、僕の勝手を承諾してくださったベイスターズに感謝です」。思い返すと、2021年9月にバンテリンドームで行われた木下さんの追悼試合の相手はDeNAだった。

「その時、DeNAの選手たちが帽子に98と記して下さって。何かの縁で、ベイスターズに来られたとも思っています」

 春季キャンプからおよそ2か月。まだ周囲には違和感のある背中かもしれない。京田自身、「1」からの脱皮には時間がかかった。「練習のメニュー表見ても、つい1番を追っちゃったり、1番って言われると反応したり」と頭をかく。

 1試合でも多く、1軍のグラウンドに立つことが最低限の宿命。生半可な姿は見せられない。「パパはすごかったんだぞということを少しでも伝えられれば」。豪快だった戦友がパンッと背中を叩いてくれているような、特別な背番号。プロ人生を賭す1年には、なんともふさわしい。

○著者プロフィール
小西亮(こにし・りょう)
1984年、福岡県生まれ。法大から中日新聞社に入社。石川県や三重県で司法、行政取材に携わり、中日スポーツでは主に中日ドラゴンズやアマチュア野球を担当。その後、「LINE NEWS」で編集者を務め、独自記事も制作。2020年からFull-Countに所属。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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