「昔は自分の成績にこだわっていた」 世界一の次は日本一へ…山田哲人に起きた“変化”

ヤクルト・山田哲人【写真:荒川祐史】
ヤクルト・山田哲人【写真:荒川祐史】

痛感するコンディション変化「体力が落ちたとかは思わないんですが…」

「試合にいっぱい勝ちたいんです。プロ野球選手として個人成績はめちゃくちゃ大事なんですけど、心の底から思うのは毎日勝ちたいみたいな。それは無理ですけど、でもそれくらい、とにかく勝つっていうことなんですよね。昔は自分の成績にめちゃくちゃこだわっていた。負けても……みたいなのは正直あったんですけど、今は自分の成績が悪くても勝ちさえすればいい。とは言いつつ、自分の結果を見て苦しむので、矛盾しているし訳分からなくなるんですけどね」

 気持ちの“変化”は「高津(臣吾)監督になって、キャプテンになってくらいからですかね。気付いたらそう思うようになっていました」。だからこそ、キャリアワーストの打率.243に終わり、独走とみられていたリーグ優勝の危機に陥った昨季を「新たな壁がきた感じだった」と話す。

 はじめは原因が分からず、分かってもこれまで通りの引き出しが当てはまらなかった。技術面だけでなく、コンディションの変化も痛感するようになり「疲れも取れにくいと感じますし、痛いところをかばったりしてやっていくと体のバランスが変わる。意識しなくてもできていたことができなくなったり、体力が落ちたとかは思わないんですが、体の変化は感じるようになりました」と戸惑いは多かった。

「『神様は乗り越えられない壁は与えない』みたいによく言いますけど、乗り越えられない壁もあって、それは時間が解決というか。僕は挑戦することの方が大事かなと思っています。結果がどうあれ、それで十分かなと。もちろん越える気持ちでいますけど、もしダメでもそこに向かっている自分を褒めるというか、また次頑張ろうと。その壁はスルー。野球ってメンタルスポーツでもありますからね」

 山田らしい努力の積み重ねと、様々な経験を経てたどり着いた現在がある。何度も何度も、口にした「日本一」の言葉。背番号1が今年こそ、チームを12球団の頂へと引っ張っていく。

(町田利衣 / Rie Machida)

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