最速160キロも「あまり投げる意味ない」 先発転向の西武平良が直球減らしたワケ
球団側の反対押し切り転向した理由「チームに貢献できていることに…」
配球では、ストレートの割合を減らした。この日は104球中、ストレートは約30.8%の32球に過ぎず、以下カットボールが22球、スライダーが19球、スプリットが13球、昨年まで試合で使っていなかったカーブも11球、新球のツーシームも7球駆使した。
「常に全部投げる(完投する)つもりでいきたい。そのために、球数をなるべく節約したい。ツーシームやカットボールで、早いカウントで打たせることが大事になると思います」と意図を明かす。驚くべきことに、最速160キロを誇る剛速球を、本人は自分の持ち味だと思っていない。「相手に“速い”という意識づけをすることはできると思いますが、ほとんどファウルにしかなっていないので、投げても球数がかさむだけ。あまり投げる意味がないかな、と思っています」と言うほど。“速すぎる変化球投手”として、特異なスタイルに磨きをかけていくことになりそうである。
昨季オフ、球団側の反対を押し切る形で先発に転向。本人には「新しい可能性を探したいですし、シーズンが終わった時、長いイニングを投げて失点が少なければ、中継ぎの時よりもチームに貢献できていることになる。それが“チームを勝たせる投手”だと思います」という考えがある。
年間の投球回数を増やし、失点は低いままに抑えたい。昨年は61試合(57回2/3)に登板し、15失点(自責点10)で防御率1.56。キャリアハイの一昨年は62試合(60回)で6失点(自責点6)、防御率0.90。今年は規定投球回(143回)以上が目安になりそうだ。仮に規定投球回をクリアして防御率1点台なら、最優秀防御率のタイトルも視野に入る。セットアッパーとして突出した存在だっただけに、そのあたりが先発転向の成否を分けるボーダーラインとなるのではないだろうか。
(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)