巧打&走魂体現…“源田の代役”では終わらない 松井監督が絶賛する西武ドラ6の躍進

ロッテ戦に出場した西武・児玉亮涼【写真:宮脇広久】
ロッテ戦に出場した西武・児玉亮涼【写真:宮脇広久】

児玉は2戦連続3安打の翌日に貴重な二塁打、松井監督も「非常に良かった」

■ロッテ 5ー3 西武(12日・ベルーナドーム)

 西武はキャプテンの源田壮亮内野手が3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で右手小指を骨折し、公式戦開幕から戦列を離れているが、代役が期待以上の活躍を続けている。ドラフト6位ルーキーの児玉亮涼内野手。身長166センチの小兵だが、名手の源田にも引けを取らない堅守を披露し、打っても12日現在、打率.345(29打数10安打)をマークしている。

 児玉は9日のソフトバンク戦、11日のロッテ戦で2試合連続3安打。続く12日、本拠地ベルーナドームで行われたロッテ戦にも「9番・遊撃」でスタメン出場し、5回1死で迎えた第2打席で、相手先発・西野勇士投手の得意の内角シュートをとらえ、三塁線を破る二塁打で出塁した。この日は3打数1安打も、松井稼頭央監督は「2試合連続で3本打ちましたが、実はその次の日が大事。そこでノーヒットで終わらず、1本打てたことは非常に良かったと思います」と高く評価した。児玉本人も「1日1本を心掛けています」とうなずき、「第1打席でシュートで攻められていた(三ゴロ)ので、イメージが残っていました」と笑みを浮かべた。

 しかも、この二塁打には続きがあった。次の打者・愛斗外野手の2球目に、三盗を仕掛けたのだ。愛斗が打って出て右飛に終わったが、完全にセーフのタイミングだった。「モーションを見て、狙っていました」と児玉。今年のチームスローガンとして「走魂」を掲げている松井監督も「どうやって点を取るかというところで、三塁に行けば可能性が全然違う。完璧なスタートを切ったと思います」と口元をほころばせた。

 オープン戦では打率.102(19打数2安打)と振るわず、開幕スタメン遊撃手の座を4歳下の山村崇嘉内野手に譲った。しかし、開幕3戦目から先発で起用されると、見違えるように快打を連発。「オープン戦では、プロの速球に差し込まれてファウルになり、不利なカウントに追い込まれることが多かったので、今は練習からストレートを1発で弾き返すことを意識しています」と説明する。

 熊本県出身で、文徳高、九産大、大阪ガスを経て入団した右投げ右打ちの24歳。高校、大学時代はプロ志望届を提出するに至らず、「社会人ではずっと、プロでやりたいと口にしていて、プロの長いシーズンを戦えるように、練習試合が3連戦、4連戦と続く時も出し続けてもらっていました。『プロへ行ったら、もっときついぞ』とハッパもかけていただいていました」と振り返り、「社会人時代のスタッフの皆さんにはとても感謝していますし、活躍して恩返ししたい」と表情を引き締める。

「源田さんがいないとダメだな、と言われるのは嫌です。これからも継続してチームに貢献したい」と燃える背番号0。代役のまま終わるつもりもない。初心のまま活躍を続ければ、源田復帰後の活路もどこかに見出せるに違いない。

(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)

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