コーチ退任を決めた「一生の汚点」 監督に逆らえず…踏みにじった最高守護神の“矜持”

岩瀬氏が現役引退した2018年オフ、近藤氏はコーチからスカウトに戻った

 近藤氏は「岩瀬にそんなふうに思わせてしまったことは僕の一生の汚点です」と言う。担当スカウトとして密着し、中日を逆指名してくれた6つ違いの左腕。近藤氏がデビュー戦ノーヒットノーランを達成した時の背番号「13」も快く着けてくれた左腕。プロで大活躍してくれて、近藤氏にとって誇りである左腕。そんな大事な選手の気持ちを傷つけた自分自身を許せなかった。

「僕も現役をやめる時は自分で決めた。そう思い起こせば、やっぱりそうだよなっていうのがあって。選手を守ってやれないんだったら、ユニホームを着ている意味はないなって思った。チームの成績不振もあったんですけど、もうやめようって思ったんです」。岩瀬氏が現役を引退した2018年シーズン限りで、近藤氏も1軍投手コーチを退任し、スカウトに戻った。それが“けじめ”だった。

 近藤氏は2021年シーズンを最後に中日を退団。2022年2月に岐阜聖徳学園大学の野球部監督に就任したが、岩瀬氏への申し訳ない気持ちは現在も持ち続けている。同じことは絶対に繰り返さない。そう肝に銘じて学生たちとも接している。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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