「こんな投手、なかなかいない」 “一本釣り”から2年で侍Jへ…担当スカウトの慧眼

中日・高橋宏斗【写真:荒川祐史】
中日・高橋宏斗【写真:荒川祐史】

近藤真市氏はスカウトとして高橋宏、岡林、石川昂を担当

 高橋宏斗投手、岡林勇希外野手、石川昂弥内野手。いずれも中日の未来を担う若竜選手たちだが、その担当スカウトだったのが近藤真市氏(岐阜聖徳学園大学硬式野球部監督)だ。2018年限りで投手コーチを退任し、スカウトに復帰して巡り会った逸材。「自分で言っちゃいけないですけど、結構、スカウト運というのがあるんですよ。岩瀬(仁紀)もそうだし、たまたま僕がその時にスカウトをやっていたという運がね」。もちろん、3人ともに思い出があるという。

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で野球日本代表「侍ジャパン」に選出され優勝に貢献した高橋宏は2020年ドラフト1位で中京大中京高から入団した。当初は慶大進学を希望していたが思うように進まず、急転プロ志望となった。「慶応に行かないとは思ってませんでしたけど、僕はめちゃくちゃ評価していました。下半身の使い方、軸足の使い方が抜群にうまい。こんなピッチャー、なかなかいないですよってね」。すぐに高橋を1位でいこうと決まったそうだ。

 ドラフトでは“一本釣り”で獲得。「(高橋宏は)プロ志望を表明したのが時期的には遅かった。他球団は1位をある程度、決めていたところが多かったんじゃないですかね。そういう点でも、風はドラゴンズに吹いていたのかなって思いましたね」。そもそも近藤氏は高橋宏と縁があったという。「宏斗は小さい頃、僕の家の近くの託児所にいたし、お父さんは僕と同い年で、長久手高校で野球をやっていて(高校3年の夏に)5回戦で僕と対戦していたんですよ。後になって知ったんですけどね」。

 WBC決勝で高橋宏が投げている姿には感慨深いものもあったのだろう。「宏斗は膝の使い方が実にいい。だから、絶対それだけは変えたら駄目だよ、それが持ち味なのだからっていうことをずっと言ってきました。WBCはいい経験になったでしょうね、トラウトに投げたり……。本人はどう思っているかわからないけど、メジャーを目指してやってほしいなっていうのはありますね」と言って、近藤氏は笑みを浮かべた。

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