怪物・江川卓に「頭に来た」 登板回避に“怒り”の快投「どこから来たと思ってる」

中日で活躍した鈴木孝政氏【写真:山口真司】
中日で活躍した鈴木孝政氏【写真:山口真司】

関東大会で江川卓さんの作新学院と同宿…卓球の腕前に感服「何やっても上手」

 その大会には江川氏を擁する作新学院も出場。準々決勝で千葉2位の千葉商に0-1で敗れて鈴木氏は対戦できなかった。だが、舞台裏では成東の選手が江川氏に戦いを挑んでいた。「神奈川代表以外は宿舎が一緒だった。そこで江川が卓球をやっていて、ウチの選手が江川と勝負した。そしたら、こてんぱん。パンパンパン、パーンって感じで負けた。相手にならなかった。江川は卓球もすごかった。何やっても上手だなって思った。俺は絶対負けるとわかっていたから、やらなかったけどね」。

 当時から江川氏は超有名人。「ノーヒットノーランを何回やったのかな。すごかったからね。春の関東大会の後に、作新まで練習試合に行った。江川が投げるからってウチの親父も見に来たよ。宇都宮まで。そしたら、江川は足首がちょっとおかしいから投げませんって言われて、頭に来たね。俺たちがどこから来ていると思っているんだ、お金もかけて行ったのにってね」。その怒りもあってか、練習試合では完封したそうだ。

「ブルペンで江川がちょっと投げたんだけど、そしたら、成東のみんなが見に行っていた。でも、あの時、やっぱり勝負したかったねぇ。普段勝負できないでしょ、栃木と千葉じゃ。してみたかったねぇ」。幻に終わった成東・鈴木孝政vs作新学院・江川卓。それもまた、鈴木氏にとって印象深い出来事で、その存在が大きな刺激になったのは言うまでもない。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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