「お前が取ったらいかん」 タイトル獲得も…まさかのクレームに謝罪「その通りです」

中日時代の鈴木孝政氏【写真:共同通信社】
中日時代の鈴木孝政氏【写真:共同通信社】

鈴木孝政氏は1976年、最優秀救援投手と最優秀防御率の2冠に輝いた

 巨人、阪神のエースとして活躍した小林繁氏に、中日OB会長で野球評論家の鈴木孝政氏は頭を下げたことがある。プロ4年目の1976年は60試合に登板し、7勝8敗26セーブで防御率2.98。最優秀救援投手と最優秀防御率のタイトル2つを手にしたシーズンオフのことだ。当時、巨人の小林氏から防御率タイトルについて「これはお前が取ったらいかんやろ」と指摘されて「その通りです」と謝ったのだ。

 抑え投手でありながら、規定投球回に達して、防御率タイトルを獲得。令和の現在なら、まずあり得ないことだろう。でも昭和はあり得た。抑え投手は1イニング限定どころか、3イニング、4イニング投げても不思議ではなかった。それどころか、鈴木氏の場合、この4年目もストッパーながら3試合に先発。9月14日の大洋戦(ナゴヤ球場)では9回1失点で完投勝利までマークした。

 イニング数も当たり前のように増えていき、規定投球回に到達した。鈴木氏の場合はその年だけではない。1975年から1977年まで3年連続でそれをクリアしたのだから恐れ入る。それだけでもすごいことだが、1976年は148回1/3を投げて、防御率1位になった。

 しかしながら、2.98はセ・リーグで最も悪い数字での受賞で「抑えならもっと数字が良くなければいけなかったと思う」。一方、小林氏は先発ローテーション投手で、43試合に登板して18勝8敗2セーブ。防御率は鈴木氏に続く2位で2.99をマークし、優勝にも貢献していた。

小林繁氏の投球回は217回1/3「俺とは全然違っていた」

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