「試合が終わるたび打ちたいなあと」　いまだ0本塁打も…山川穂高が感じ始めた手応え

平石ヘッド明かす「100％で走れるまで1軍に上げない方針を貫きました」

　4月9日に鹿児島で行われたソフトバンク戦で、スタメンに名を連ねながら、試合開始直前のウオーミングアップでふくらはぎを痛め、翌10日に出場選手登録を抹消された。前日2日にようやく1軍復帰を果たしたばかり。1点ビハインドで迎えた4回1死一、三塁の好機では、日本ハム先発・鈴木健矢投手の外角のスライダーを引っ掛け、ボテボテの三ゴロとなったが、故障明けとは思えない激走で一塁を駆け抜けて併殺を免れ、チームは同点に追いついた。山川自身にも復帰後初打点も記録された。

「ふがいないという気持ちもありますが、どんな形であれ復帰後最初の打点。昨年は2打点差でタイトルを獲っているので、減らないものは稼げるうちに稼いだ方がいいとも言える。運が良かった」と笑った。昨年は3度目の本塁打王とともに、当時オリックスの吉田正尚外野手（現レッドソックス）とわずか2差で初の打点王を獲得しているのだ。

　そうでなくても西武は今季「走魂」をスローガンに掲げ、全力疾走はもちろん、次の塁を積極的に狙う走塁を全選手に厳命している。俊足とは言えない山川も例外ではなく、平石洋介ヘッドコーチは「松井稼頭央監督は穂高に関して、例え打てるとしても、100％で走れるようになるまでは1軍に上げない方針を貫きました」と明かす。

　一方で、4番の座に強いこだわりを持つ山川だが、離脱中に専ら代役を務めた39歳の中村剛也内野手が絶好調。山川の復帰初戦の2日も中村が座り、中村が休養でスタメンを外れた3日もデビッド・マキノン内野手が4番、山川は6番に据えられた。「めちゃくちゃ打っている中村さんに負けないように、打って取り返すつもりです」と意欲を示す。チームが26試合を消化した時点で10試合出場、打率.235（34打数8安打）、0本塁打3打点。ここから逆襲が始まる。

（宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki）