「俺、いらないのかな」落合竜を1年で去ったワケ 「入院しろ」拒否して見せた“意地”

周囲は「絶対やめるな」も「それだけは駄目だった」

「3年契約だから、普通だったら、そのままいてもいいよね。いい給料をもらえるんだから。でも俺はそれだけは駄目だったね。かっこつけているわけじゃないんだよ。本当にそれだけは駄目だった。周りからは『絶対やめるな』って言われたけどね。女房が一番困ったと思うよ。でも、自分が死ぬ時に悔いを残すから俺はやめると言ったら何も言わなかった」。ただし、シーズン途中で投げ出すことはしないとも決めた。

「球団は気を使ってくれて、孝政、入院しろって言ってくれた。1回、理由としてね。それは断った。いや、そんなのいいですから、最後までやりますからって2軍で普通に仕事をした。2軍は優勝して宮崎でのファーム選手権にも勝った。ビールかけも全部普通にやったよ」。そして、わずか1年で落合中日から去った。

 鈴木氏は何とも言えない表情で当時を振り返った。「落合さんはマスコミにあまりしゃべらないでしょ。そしたら記者はみんな俺のところに来るでしょ。あっちがしゃべらないから、聞きにくるでしょ。何にもネタがなかったら、記者も仕事にならない。それなりにしゃべってやればいいじゃない。それも仕事だからね、プロの。そういうのもひとつ原因だったと思うよ。俺はただ監督の手伝いをしようと思っただけだったけど、ちょっと違っていたね……」。入閣時には思ってもいなかった溝。精神的にも苦しい時期だった。

(山口真司 / Shinji Yamaguchi)

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